冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
「そ、そんなことは……!」
言葉に詰まり、顔から火が出そうになる。
本橋さんはそれ以上追及しなかったものの、すべてを見透かしたような含み笑いを残して去っていった。
街は、吐息が白くなる寒さとは裏腹に、バレンタインの熱狂に包まれている。
ショーウィンドウを彩る、情熱的な赤と愛らしいピンク。
湊に、何を贈ろう……。
彼を喜ばせる方法を考えるだけで、胸の奥が甘い緊張感で支配された。
◇
二月十日。バレンタインまであと四日となった、ある昼下がり。
手元のスマホが震え、表示された名前に背筋が凍りついた。
『鳳華恋』
あのパーティーで名刺を渡され、連絡先を交換して以来、一度も鳴ることのなかった着信。
不吉な予感が、背筋を駆け上がる。
いったい、何の用だろう?
私は震える指先で、ようやく通話ボタンを押した。
「はい、もしもし」
『紗良さん? お久しぶりです。鳳華恋ですわ』
優雅で丁寧、それでいて氷のように冷たい響き。
「……何か、ご用でしょうか」