冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

「そ、そんなことは……!」

言葉に詰まり、顔から火が出そうになる。

本橋さんはそれ以上追及しなかったものの、すべてを見透かしたような含み笑いを残して去っていった。

街は、吐息が白くなる寒さとは裏腹に、バレンタインの熱狂に包まれている。

ショーウィンドウを彩る、情熱的な赤と愛らしいピンク。

湊に、何を贈ろう……。

彼を喜ばせる方法を考えるだけで、胸の奥が甘い緊張感で支配された。



二月十日。バレンタインまであと四日となった、ある昼下がり。

手元のスマホが震え、表示された名前に背筋が凍りついた。

『鳳華恋』

あのパーティーで名刺を渡され、連絡先を交換して以来、一度も鳴ることのなかった着信。

不吉な予感が、背筋を駆け上がる。

いったい、何の用だろう?

私は震える指先で、ようやく通話ボタンを押した。

「はい、もしもし」

『紗良さん? お久しぶりです。鳳華恋ですわ』

優雅で丁寧、それでいて氷のように冷たい響き。

「……何か、ご用でしょうか」
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