冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
『実は、あなたにお伝えしたいことがあって。近々、ランチでもいかが?』
拒絶する間を与えない、有無を言わせぬ誘い。
もし湊に関わることなら、聞いておくべきかもしれない。
「わかりました」
『ありがとう。では、明日の午後一時、銀座の「ラ・ローズ」で』
「はい」
電話を切った後も、手のひらには嫌な汗が残っていた。
華恋さんは、何を話したいんだろう。
◇
翌日、私は指定されたレストラン『ラ・ローズ』へ向かった。
高級フレンチレストラン。こんな場所に、一人で来るのは緊張する。
格式高いエントランスをくぐると、上品な香水の香りに圧倒された。
「鳳様のお連れ様ですね。こちらへどうぞ」
案内されたのは、個室。窓からは、無機質な銀座のビル群が見下ろせた。
白いテーブルクロスの上には、高級な食器。そして、中央には薔薇の花が飾られている。
「来てくださって光栄だわ」
華恋さんが、既に席についていた。
漆黒のタイトなワンピース。完璧に整えられた髪。大粒の真珠のネックレス。
その隙のない美しさは、まるで氷の女王のようだった。
「お待たせして申し訳ありません」
私は、慌てて向かいの席に座る。
「いいえ。私も今、着いたところですの」
華恋さんが、優雅に微笑む。しかし、その目は一切笑っていない。