冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約

『実は、あなたにお伝えしたいことがあって。近々、ランチでもいかが?』

拒絶する間を与えない、有無を言わせぬ誘い。

もし湊に関わることなら、聞いておくべきかもしれない。

「わかりました」

『ありがとう。では、明日の午後一時、銀座の「ラ・ローズ」で』

「はい」

電話を切った後も、手のひらには嫌な汗が残っていた。

華恋さんは、何を話したいんだろう。



翌日、私は指定されたレストラン『ラ・ローズ』へ向かった。

高級フレンチレストラン。こんな場所に、一人で来るのは緊張する。

格式高いエントランスをくぐると、上品な香水の香りに圧倒された。

「鳳様のお連れ様ですね。こちらへどうぞ」

案内されたのは、個室。窓からは、無機質な銀座のビル群が見下ろせた。

白いテーブルクロスの上には、高級な食器。そして、中央には薔薇の花が飾られている。

「来てくださって光栄だわ」

華恋さんが、既に席についていた。

漆黒のタイトなワンピース。完璧に整えられた髪。大粒の真珠のネックレス。

その隙のない美しさは、まるで氷の女王のようだった。

「お待たせして申し訳ありません」

私は、慌てて向かいの席に座る。

「いいえ。私も今、着いたところですの」

華恋さんが、優雅に微笑む。しかし、その目は一切笑っていない。
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