冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
「これ、あなたと湊さんとの婚姻契約書の写しよ」
差し出された書類を見て、私の手が止まる。
そこには、三ヶ月前に私がサインした、紛れもない『証拠』があった。
『期間:半年』
『契約終了後、双方合意の上で離婚する』
「どうして、あなたがこれを……」
「私を誰だと思っているの? この程度の情報、どうとでもなるわ」
華恋さんが、書類を私の前に置く。
「見ての通り、あなたとの結婚は最初から『半年限定』だったのよ」
唇の端をわずかに吊り上げる、華恋さん。
「……でも。湊は、私のことが大切だって言ってくれました。あんなに優しく……」
言いかけた言葉は、彼女の冷ややかな嘲笑にかき消された。
「確かに彼は、あなたを大切に思ってるって言ったかもしれないけど――」
華恋さんが身を乗り出す。
「本当に大切なら、なぜ『半年』なんて期限を設けたのかしら? 本当に必要なら、期限なんていらないはずよ」
彼女の言葉が、氷のくさびのように私の心臓を深く貫いた。
「それは、事情があってのことで……」
反論しようとした唇が、情けなく震える。
確かに、私たちは契約結婚から始まった。半年後に離婚する約束で。
だけど、あれからたくさんのことがあって。
湊は私に優しくしてくれて。お互いに大切に思い合って。
もう契約なんて、関係ないと思っていた。
「ねえ、紗良さん……あなた、お父様の治療費のために結婚したのよね?」
華恋さんの核心を突く問いかけに、息が止まる。