旦那様、そろそろ離縁のご準備を〜契約結婚三年目、満了日を目前にして旦那様の様子がどこか変です〜
契約結婚の契約満了日まで残りひと月。ソフィアはレイモンドから、最後のひと月は赴任先についてきてほしいと言われていた。その出発は三日後の予定だったはずだ。当然ソフィアは一緒に行くものと思っていた。それが、どうして急に?
困惑するソフィアに、アリスは『レイモンドからの伝言』を伝える。
「港で密輸船が見つかったとかで、昨夜急に辞令が下ったらしいです。奥様は予定通り三日後に出発してくれればいいとおっしゃっていましたよ。『挨拶ができなくてすまない』とも」
「……そう」
その言葉に、時間的な猶予ができた安堵と同時に、わずかな不安が込み上げる。
(挨拶もなしに出発を? 今までだったら、どんなにお急ぎのときでも挨拶はしてくれていたのに)
やっぱり、レイモンドはイシュと何か話したのだろうか。それとも、何もなかったからこそ、と考えるべきなのだろうか。
――イシュのこと。レイモンドのこと。兄のこと。それに、昨夜自分を探していたという母親のこと。
何もかもがスッキリせず、モヤモヤだけが増えていく。
(あとひと月で契約終了だっていうのに、こんな調子で大丈夫なのかしら。何だか、不安だわ)
ソフィアは小さく溜め息をついて、窓の向こうの青空を見上げた。