愚かな婚約者様、あなたの"浮気相手"は私の味方ですよ? 〜手を組んだ2人の才女による華麗なる制裁〜
6、思い出(コレット視点)
実家の屋敷に帰る馬車の中で、コレットはカトリーヌとの出会いを思い出していた。
七歳だったコレットは、今でもとても可愛らしいその容姿が子供らしさも相まって、誰もが目を惹きつけられるような神秘的な愛らしさとなっていた。そんな容姿のコレットに、同年代の男の子たちが惹かれないわけがない。
コレットは七歳にしてモテにモテた。モテすぎて男の子たちにもうんざりしていたが、何よりも嫌だったのは同年代の女の子たちの嫉妬だ。
七歳とはいえ貴族の令嬢である。男の子たちにモテるコレットは、次第に女の子たちから嫌がらせを受けるようになったのだ。
子供のコレットは上手く反撃できず、ただ耐えるしかなかった。
そんな中、あるお茶会でいつも通り虐められたコレットは、会場の隅で隠れて泣いていた。そこに顔を出したのが、同じく七歳のカトリーヌだったのだ。
「だ、大丈夫? 痛いの?」
コレットを心配しているのが分かる声掛けに、子供のコレットはさらに泣いた。
「ひぐっ、私の、ドレスが……」
ドレスは虐められる中で、泥に塗れてしまっていたのだ。悪知恵が働く女の子たちによって、あくまでもコレットが一人で転んだように汚されていた。
「転んだの?」
「ちがっ、う、あの子たちに!」
コレットは子供心に虐められていたことが恥ずかしく、家族にも相談できていなかった。しかしカトリーヌの優しいがあまり踏み込んでこない雰囲気が良かったのか、この時のコレットはカトリーヌに全てを話すことができたのだ。
全てを聞いたカトリーヌは、少し悩んでから告げた。
「じゃあ、わたしの予備のドレスを着る? それで、一緒にいよう。一緒にいれば、虐められないかも」
カトリーヌの提案に泣きながら頷き、コレットはドレスを着替えてカトリーヌの隣にぴたりとくっついた。
するとそのお茶会では、それ以上虐められることはなかったのだ。理由は人見知りなカトリーヌに、過保護なコルディエ侯爵が使用人を何人も付けていたから。
子供だけのお茶会は基本的に親が介入しないのが原則であるため、カトリーヌも知らなかったが、カトリーヌから一定の距離でずっと様子を見守っている使用人たちがいた。その監視の目に気付いたのか、虐めは起きなかったのだ。
「あの時のカトリーヌ、本当に女神様みたいに見えたのよね」
コレットはそう呟いて、口元を緩める。
お茶会でカトリーヌに助けられてから、コレットはカトリーヌのことが大好きになり、頻繁に侯爵家の屋敷に行くようになった。
そして、二人は親友となったのだ。
コレットはカトリーヌの控えめなところも優しいところも少し真面目すぎるところも、全て好きだった。
カトリーヌは最低限しかお茶会などに参加しなかったため、なんとか両親に頼み込んでコルディエ侯爵家の屋敷に連れて行ってもらっていたのは、コレットの良い思い出である。
「あの後、虐めってどうなったのかしら」
思い出そうとしても、コレットは全く思い出せなかった。カトリーヌとの出会いが強烈に記憶に残りすぎていて、その後で覚えているのはカトリーヌの下に遊びに行ったことばかりなのだ。
「確か、お茶会を休んでカトリーヌのところに遊びに行きたくて、お父様に理由を聞かれて……そうだわ」
急に記憶が蘇ってきた。
カトリーヌの下に行くためなら、いくらでも虐めのことを報告できたのだ。恥ずかしかったのはなんだったのだと、自分で拍子抜けするほど。
その後は一人でお茶会に行っても、コレットが虐められることはなかった。
「お父様が動いてくれたのね」
コレットの父親であるルガル伯爵は、少し鈍いところはあるが善良な人間だ。ぼんやりしてそうに見えて、その実ぼんやりしているのだが、貴族的なやりとりも最低限はこなせる。
ガタッと馬車が揺れたことで、過去に向かっていたコレットの思考が今に戻った。
「カトリーヌのために、精一杯頑張りましょう。絶対にあの子を不幸にはしない。幸せな未来を掴み取るのよ」
そう呟いたコレットの瞳には、強い決意が滲んでいる。
大好きな親友であるカトリーヌのために、コレットの奮闘が始まった。
七歳だったコレットは、今でもとても可愛らしいその容姿が子供らしさも相まって、誰もが目を惹きつけられるような神秘的な愛らしさとなっていた。そんな容姿のコレットに、同年代の男の子たちが惹かれないわけがない。
コレットは七歳にしてモテにモテた。モテすぎて男の子たちにもうんざりしていたが、何よりも嫌だったのは同年代の女の子たちの嫉妬だ。
七歳とはいえ貴族の令嬢である。男の子たちにモテるコレットは、次第に女の子たちから嫌がらせを受けるようになったのだ。
子供のコレットは上手く反撃できず、ただ耐えるしかなかった。
そんな中、あるお茶会でいつも通り虐められたコレットは、会場の隅で隠れて泣いていた。そこに顔を出したのが、同じく七歳のカトリーヌだったのだ。
「だ、大丈夫? 痛いの?」
コレットを心配しているのが分かる声掛けに、子供のコレットはさらに泣いた。
「ひぐっ、私の、ドレスが……」
ドレスは虐められる中で、泥に塗れてしまっていたのだ。悪知恵が働く女の子たちによって、あくまでもコレットが一人で転んだように汚されていた。
「転んだの?」
「ちがっ、う、あの子たちに!」
コレットは子供心に虐められていたことが恥ずかしく、家族にも相談できていなかった。しかしカトリーヌの優しいがあまり踏み込んでこない雰囲気が良かったのか、この時のコレットはカトリーヌに全てを話すことができたのだ。
全てを聞いたカトリーヌは、少し悩んでから告げた。
「じゃあ、わたしの予備のドレスを着る? それで、一緒にいよう。一緒にいれば、虐められないかも」
カトリーヌの提案に泣きながら頷き、コレットはドレスを着替えてカトリーヌの隣にぴたりとくっついた。
するとそのお茶会では、それ以上虐められることはなかったのだ。理由は人見知りなカトリーヌに、過保護なコルディエ侯爵が使用人を何人も付けていたから。
子供だけのお茶会は基本的に親が介入しないのが原則であるため、カトリーヌも知らなかったが、カトリーヌから一定の距離でずっと様子を見守っている使用人たちがいた。その監視の目に気付いたのか、虐めは起きなかったのだ。
「あの時のカトリーヌ、本当に女神様みたいに見えたのよね」
コレットはそう呟いて、口元を緩める。
お茶会でカトリーヌに助けられてから、コレットはカトリーヌのことが大好きになり、頻繁に侯爵家の屋敷に行くようになった。
そして、二人は親友となったのだ。
コレットはカトリーヌの控えめなところも優しいところも少し真面目すぎるところも、全て好きだった。
カトリーヌは最低限しかお茶会などに参加しなかったため、なんとか両親に頼み込んでコルディエ侯爵家の屋敷に連れて行ってもらっていたのは、コレットの良い思い出である。
「あの後、虐めってどうなったのかしら」
思い出そうとしても、コレットは全く思い出せなかった。カトリーヌとの出会いが強烈に記憶に残りすぎていて、その後で覚えているのはカトリーヌの下に遊びに行ったことばかりなのだ。
「確か、お茶会を休んでカトリーヌのところに遊びに行きたくて、お父様に理由を聞かれて……そうだわ」
急に記憶が蘇ってきた。
カトリーヌの下に行くためなら、いくらでも虐めのことを報告できたのだ。恥ずかしかったのはなんだったのだと、自分で拍子抜けするほど。
その後は一人でお茶会に行っても、コレットが虐められることはなかった。
「お父様が動いてくれたのね」
コレットの父親であるルガル伯爵は、少し鈍いところはあるが善良な人間だ。ぼんやりしてそうに見えて、その実ぼんやりしているのだが、貴族的なやりとりも最低限はこなせる。
ガタッと馬車が揺れたことで、過去に向かっていたコレットの思考が今に戻った。
「カトリーヌのために、精一杯頑張りましょう。絶対にあの子を不幸にはしない。幸せな未来を掴み取るのよ」
そう呟いたコレットの瞳には、強い決意が滲んでいる。
大好きな親友であるカトリーヌのために、コレットの奮闘が始まった。