麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
******
リードネスト・ルーバスは、猛烈な勢いで森を駆け抜けていた。
俺の予想がただしければ、この先にーーーー。
険しい崖を登り、さらに深い森を抜け、その先に見える断崖絶壁。
その一歩手前に、古くて大きな木がそびえていた。
サワサワと揺れる葉には、何か丸い実が揺れている。
やっぱり....あった!あれだ!!!
リードネストは、慎重に木に登り、実がたわわに実った葉の側の枝に膝をかけ、身体を安定させる。
そして、腕を目一杯伸ばして、ひとつひとつ優しくもいで、柔らかな袋の中にそっと入れていく。
この木になっている実を全てもいだところで、下に下りようと、さらに下の枝に足をかけた....ところで、落ちた。
ズザザザザァーーーーーーッッッ!!!ガン!!
「っったぁ....」
地面に叩きつけられて、身体に鋭い痛みが走った。
が、痛みが去ったらリードネストはすぐさま立ち上がり、また駆け出した。
一刻も早く。モモネリアの元へ。
その一心で、走るリードネストの身体は、先ほど木から落ちた際についた傷だらけで、大きなものからは血がダラダラと流れている。
本人は、全く気づいていない。
待っていてくれ、モモネリアーーーー。
******
バン!!!
モモネリアは大きな音にビクッと肩が跳ねて、音のした方を見遣る。
そこには、息を切らしたリードネストが立っていた。
全身傷だらけで、頬や左腕の傷は大きく、血が流れ出している。
「っっ!!リードさん!?....どうして...っ?」
思わず声を上げるが、そんなことより、というようにリードネストはズカズカとベッドサイドまで歩み寄り、おもむろに手の中の袋から、それを取り出す。
「......これ、は....あのときの、くだも、の?」
差し出されたものは、まさに、あの古い記憶で何度も思い出していた果物で、その芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。
....そう。これ、だわ。この香り、この形、この色。
モモネリアは、無意識に震える手をゆっくり上げ、リードネストから差し出されている果物を受け取った。
そして、鼻の近くまで持っていき、スーッと香りを吸い込んだ。
その瞬間、鮮やかに瞼の裏に当時の思い出が蘇った。
断片的に、ではなく、あのときの街の風景、ガヤガヤ騒がしい周りの音、そして、母の温かな体温と自分に向けられた幸せそうな笑顔、記憶にある全て。
そうだ、母はあんな顔をして笑うんだった。
大好きな母、短い間でもたくさん愛を教えてくれた母、抱きしめて「愛してるわ」とキスしてくれた母。
どうして今まで忘れていたのかしら...あの家族に愛されていなくても、私にはたくさん愛してくれた本当の家族がいたのに....。
モモネリアの目から、ツツーっと一筋涙が光って、流れて落ちる。
それを見たリードネストの指が、優しくモモネリアの頬に触れ、涙の筋をそっと撫でる。
モモネリアは、頬に触れる久しぶりの人の体温にホッと安心感を覚えた。
モモネリアがゆっくりと視線を上に滑らせ、枕元で立ったままだったリードネストの顔を見上げた。
「....ありがとう」
胸が詰まって、いっぱいで、それ以上の言葉が声にならなかった。
初めてまともに顔をみて、目をみて、話したかもしれない。
最初の日は、ほとんど目を見ずに終わってしまったから。
リードネスト・ルーバスは、猛烈な勢いで森を駆け抜けていた。
俺の予想がただしければ、この先にーーーー。
険しい崖を登り、さらに深い森を抜け、その先に見える断崖絶壁。
その一歩手前に、古くて大きな木がそびえていた。
サワサワと揺れる葉には、何か丸い実が揺れている。
やっぱり....あった!あれだ!!!
リードネストは、慎重に木に登り、実がたわわに実った葉の側の枝に膝をかけ、身体を安定させる。
そして、腕を目一杯伸ばして、ひとつひとつ優しくもいで、柔らかな袋の中にそっと入れていく。
この木になっている実を全てもいだところで、下に下りようと、さらに下の枝に足をかけた....ところで、落ちた。
ズザザザザァーーーーーーッッッ!!!ガン!!
「っったぁ....」
地面に叩きつけられて、身体に鋭い痛みが走った。
が、痛みが去ったらリードネストはすぐさま立ち上がり、また駆け出した。
一刻も早く。モモネリアの元へ。
その一心で、走るリードネストの身体は、先ほど木から落ちた際についた傷だらけで、大きなものからは血がダラダラと流れている。
本人は、全く気づいていない。
待っていてくれ、モモネリアーーーー。
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バン!!!
モモネリアは大きな音にビクッと肩が跳ねて、音のした方を見遣る。
そこには、息を切らしたリードネストが立っていた。
全身傷だらけで、頬や左腕の傷は大きく、血が流れ出している。
「っっ!!リードさん!?....どうして...っ?」
思わず声を上げるが、そんなことより、というようにリードネストはズカズカとベッドサイドまで歩み寄り、おもむろに手の中の袋から、それを取り出す。
「......これ、は....あのときの、くだも、の?」
差し出されたものは、まさに、あの古い記憶で何度も思い出していた果物で、その芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。
....そう。これ、だわ。この香り、この形、この色。
モモネリアは、無意識に震える手をゆっくり上げ、リードネストから差し出されている果物を受け取った。
そして、鼻の近くまで持っていき、スーッと香りを吸い込んだ。
その瞬間、鮮やかに瞼の裏に当時の思い出が蘇った。
断片的に、ではなく、あのときの街の風景、ガヤガヤ騒がしい周りの音、そして、母の温かな体温と自分に向けられた幸せそうな笑顔、記憶にある全て。
そうだ、母はあんな顔をして笑うんだった。
大好きな母、短い間でもたくさん愛を教えてくれた母、抱きしめて「愛してるわ」とキスしてくれた母。
どうして今まで忘れていたのかしら...あの家族に愛されていなくても、私にはたくさん愛してくれた本当の家族がいたのに....。
モモネリアの目から、ツツーっと一筋涙が光って、流れて落ちる。
それを見たリードネストの指が、優しくモモネリアの頬に触れ、涙の筋をそっと撫でる。
モモネリアは、頬に触れる久しぶりの人の体温にホッと安心感を覚えた。
モモネリアがゆっくりと視線を上に滑らせ、枕元で立ったままだったリードネストの顔を見上げた。
「....ありがとう」
胸が詰まって、いっぱいで、それ以上の言葉が声にならなかった。
初めてまともに顔をみて、目をみて、話したかもしれない。
最初の日は、ほとんど目を見ずに終わってしまったから。