麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

*******



 ふっと意識が覚醒して、現実に戻ってきた。
 夢だったのか。

 頭が痛い。嫌な夢をみたせいだ。

 昨日、攫われる前、りんごを買いに行けと命令された時の出来事。

 モモネリアは、父の友人夫婦がのこした娘。

 その友人夫婦に他に家族はなく、唯一の娘であるモモネリアはまだ三歳だったことから、遺産目当てにモモネリアを引き取った。


 りんごを買いに出る前に、震える声で事実を尋ねると、父は「なんだ、聞いていたのか」とこともなげに答えて、笑いながらそんなことを話した。

 本当の父と母が遺してくれたものは、すでにこの家族にくいつくされてしまったらしく、何ものこっていないと言われた。

< 12 / 184 >

この作品をシェア

pagetop