麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
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ふっと意識が覚醒して、現実に戻ってきた。
夢だったのか。
頭が痛い。嫌な夢をみたせいだ。
昨日、攫われる前、りんごを買いに行けと命令された時の出来事。
モモネリアは、父の友人夫婦がのこした娘。
その友人夫婦に他に家族はなく、唯一の娘であるモモネリアはまだ三歳だったことから、遺産目当てにモモネリアを引き取った。
りんごを買いに出る前に、震える声で事実を尋ねると、父は「なんだ、聞いていたのか」とこともなげに答えて、笑いながらそんなことを話した。
本当の父と母が遺してくれたものは、すでにこの家族にくいつくされてしまったらしく、何ものこっていないと言われた。