麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
胸がえぐられたみたいに、痛い。苦しい。
家族だと信じていた。
頑張ればいつかきっと姉のように愛してくれる、その一心で尽くしてきた日々。
幼いながらに、愛されたいと、努力してきた。
けれど、そんなことは無意味だった。
はじめから、彼らにとってモモネリアは他人で、召使いで、どうでもいい存在だったのだから。
....私、あの家に戻りたいのかしら?
....確かに、家族は冷たかったが、十八年間育ってきた土地には愛着がある。よくおつかいに行くお店のおかみさんやおじさんは優しくしてくれた。
....でも、愛してくれる人はいなかったわ。
.... 愛しているのに攫ってくるのは理解できないし、傷ついたが、もうあの家に戻らなくていい、と思うと少しホッとしている自分もいる。
モモネリアは、一晩明けて落ち着いた頭で改めてこの状況を整理し、ひとつの結論を得た。
あの家でずっと暮らすのも、攫われてここで暮らすのも、そう変わらないかもしれない。
どうせ私は、ひとりぼっちなのだから。