麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
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 モモネリアは、今リードネストの邸の図書室に来ている。

 リードネストの前で大泣きしてから、吹っ切れるものがあって、私は行動的になった。リードネストは基本私に甘々で、何でも私の希望をきいてくれる。

 部屋の外に出たいと言えば、行きたいと言ったところに連れて行ってくれ、好きだと言った果物や食べ物は翌日大量に食卓に並ぶ。

 モモネリアが本が好きだと言えば図書室に案内され、本棚にあるすごい数の本を思いのまま読んでいいと言われ、好みの小説まですぐに取り揃えてくれた。

 そうして、一ヶ月が経とうという今日この頃は、広い邸を自由に歩き回って、自分の時間を過ごしている。

 自由に行き来するようになって感じたのは、リードネストの邸の広さだ。

 私が住んでいた家の何十倍あるの?と思うほど、家も庭もだだっ広い。

 私が最初寝ていた部屋もすごく広くて、家具も装飾も一目で高級なのが伝わってくるものばかりだった。

 今は私が花が好きだと知って、バルコニーから庭の花壇が特別綺麗に見られるお部屋にうつっている。

 ちなみに、私の部屋がうつるのと同時に、リードネストも隣の部屋に荷物を全て移動していた。

 本人曰く、物理的な距離があるのも嫌らしい。

 隣にいれば何かあってもすぐに駆けつけられるし、いつでも私の存在を感じられて嬉しい、と。

 部屋には、私の好みに合わせた可愛らしい家具や装飾を用意してくれて、本当に至れり尽くせりで、申し訳なくなるくらいだ。

 今度、私が好きな本と花をどちらも楽しめるように庭にガゼボをつくって、花を愛でながら外でゆっくり読書をできるように計画してくれている。

 私が「そんなに良くしてもらっても返せない」と言うと、「俺が用意したいだけだからどうか受け取ってほしい」って懇願されて、結局押し切られてしまう。


 それに、実はリードネストは国にとってとても重要な仕事をしているみたいだ。詳しくは知らないが、よく国王からの使者が邸にきている。

 ちなみに、私がここに来てすぐ私専属の侍女もつけてくれた。

 しばらく、私が部屋から出なかったのと他人に心を開かなかったから、私が少し調子を取り戻してから紹介された。

 ハルカと名乗った侍女は、栗色の柔らかそうな髪の毛を後ろでお団子にし、真っ白なツルツルの肌と大きな可愛らしい垂れ目、チョコレートみたいな美味しそうな瞳の色をした、優しい子だった。

 20歳で、私より少し上なのもありお姉さん的な存在だ。気が回り、とても気さくで、話しやすい。

 手先も器用で、ふわふわで扱いづらいだろう私の髪の毛も、「綺麗なお髪ですね」と褒めながら可愛らしい結い方でアレンジしてくれる。

 友達と呼べる関係の子がいなかった私は、このハルカを姉みたいな、友達みたいな...そんな風に感じて、色々とお喋りも楽しんでいる。
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