麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
******



「モモネリア、ここにいたのか」

「リードさん」


 モモネリアが図書室で、大好きな小説を読んでいると、ドアが開かれリードネストが入ってきた。


「リード、と呼んでくれ。さん、はいらん」


 少し口を尖らせ、拗ねる素振りをみせるリードネスト。


「....リード」


「あぁ」


 ニコニコと本当に嬉しそうにするから、結局いつもリードネストのことを拒否できず、最近では可愛いとさえ感じてしまっている。



 私.....すっかり絆されない?



 内心そんなことを思っていると、読みかけの本をリードネストが覗き込んできた。


「何を読んでいたんだ?」


「あ.....好きな小説。リードが全巻揃えてくれたから、嬉しくて。......すごく面白いわ。ありがとう」


「....そうか。それは良かった」



 リードネストは一瞬目を見開いてから、それはもう蕩けるような笑みを浮かべる。

 愛おしむ目で見つめられて、落ち着かず目を伏せてしまった。

 ゆっくりリードネストの大きな手が伸びてきて、モモネリアのふわふわの髪を撫でた。



 .......あ。......気持ちいいな。



 リードネストのあたたかくて大きな手で撫でられると、モモネリアの目は心地よさでトロンとしてくる。

 うっとりしていると、しばらくして手が離れていこうとした。

 思わず、もっと撫でて欲しくて、モモネリアはリードネストの手首を掴んで引き留めていた。

 手首を掴まれたリードネストは、目をパチパチさせた。

 それから、椅子に腰掛るモモネリアに目線を合わせるように少し屈んで、ふんわり笑って優しい声音で問いかける。



「......ん?どうかしたか?」



 それだけでも、モモネリアは胸がふわふわして。
 体の中から溶けてしまいそうな変な心地だ。
 しかし、決して嫌ではない。
 むしろ、くすぐったくて、気持ちよくて。
 もっと、もっと、とリードネストに甘えたくなってしまう。



「.....あのね?....もっと、撫でて、ほしいの....すごく心地よくて。.....ダメ?」



 上目遣いに、遠慮がちに、されど甘えた口調でおねだりするモモネリアは、驚くほど可愛かった。


 どうしようもなく、モモネリアが愛おしい。
 全身が、モモネリアを求める。


 ......抱きしめたい。キスしたい。モモネリアを....今すぐ俺のものにしてしまいたい。

 
 本能が暴れまわる胸の内をなんとか抑え込み、リードネストは自身の左胸をぎゅっと掴んだ。




「.....仰せのままに、俺の可愛い桃姫さま」




 そう言ってまた伸びてきたリードネストのあたたかな手は、モモネリアの頭を撫でる。
< 18 / 51 >

この作品をシェア

pagetop