麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
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 リードネスト・ルーバスは、猛烈な勢いで森を駆け抜けていた。



 俺の予想がただしければ、この先にーーーー。




 険しい崖を登り、さらに深い森を抜け、その先に見える断崖絶壁。

 その一歩手前に、古くて大きな木がそびえていた。 
 サワサワと揺れる葉には、何か丸い実が揺れている。




 やっぱり....あった!あれだ!!!




 リードネストは、慎重に木に登り、実がたわわに実った葉の側の枝に膝をかけ、身体を安定させる。
 そして、腕を目一杯伸ばして、ひとつひとつ優しくもいで、柔らかな袋の中にそっと入れていく。

 この木になっている実を全てもいだところで、下に下りようと、さらに下の枝に足をかけた....ところで、落ちた。



 ズザザザザァーーーーーーッッッ!!!ガン!!



「っったぁ....」




 地面に叩きつけられて、身体に鋭い痛みが走った。
 が、痛みが去ったらリードネストはすぐさま立ち上がり、また駆け出した。


 一刻も早く。モモネリアの元へ。


 その一心で、走るリードネストの身体は、先ほど木から落ちた際についた傷だらけで、大きなものからは血がダラダラと流れている。

 本人は、全く気づいていない。




 待っていてくれ、モモネリアーーーー。



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