麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

 
 どうして今まで忘れていたのかしら...あの家族に愛されていなくても、私にはたくさん愛してくれた本当の家族がいたのに....。




 モモネリアの目から、ツツーっと一筋涙が光って、流れて落ちる。

 それを見たリードネストの指が、優しくモモネリアの頬に触れ、涙の筋をそっと撫でる。

 モモネリアは、頬に触れる久しぶりの人の体温にホッと安心感を覚えた。

 モモネリアがゆっくりと視線を上に滑らせ、枕元で立ったままだったリードネストの顔を見上げた。




「....ありがとう」




 胸が詰まって、いっぱいで、それ以上の言葉が声にならなかった。

 初めてまともに顔をみて、目をみて、話したかもしれない。

 最初の日は、ほとんど目を見ずに終わってしまったから。
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