麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
*****

 パチン!


「.....っっ!よし!.....やっと完成したわ。我ながら上出来じゃないかしら?」


 モモネリアは、自室の机に向かって糸切りばさみを片手に、満足げな顔だ。今仕上がったばかりのリードネストへのプレゼントを見つめている。

 リードネストには、あれから会っていない。

 モモネリアとしては、作業時間を確保したかっただけなので、食事などはいつも通りリードネストととるつもりだった。

 しかし、リードネストは、あれから食事の時間もずらしているのか全くモモネリアの前に現れない。



 ....会いたいわ。やっぱり、怒っているのかも。嫌われては....いない、はず.....よね?



 初めて、ただ喜んでほしいと何かしてあげたいと思った相手と、こんな状況になってモモネリアは少し落ち込んでいた。

 番であるモモネリアを、嫌うはずはないのだが、会えていないとどうしたって悪いことを考えてしまう。



 ....傷つけたのかしら?

 .....プレゼントを渡して、謝りましょう。




 モモネリアは、早速プレゼントを綺麗にリボンで包んだ。そのまま、侍女のハルカにリードネストの居場所を尋ねる。




「旦那様でしたら、先ほど庭のほうに向かわれたと聞いております。ただ....」


「ありがとう!」


「....あっ!!モモネリアさま!!」




 ハルカが、何か言いかけていたのを最後まで聞かずにモモネリアは急いで庭に向かった。どうしても早くリードネストにこれを渡したくて、はやる気持ちを抑えられなかった。



 庭に続く道を足早にすすみ、角を曲がったところで、リードネストの後ろ姿が見えた。



「リー.....。あれ、は......?」



 声をかけようとした瞬間、モモネリアは固まった。リードネストの腕に、可愛らしいクリーム色の垂れ耳を揺らした美しい女性が絡みついていたからだ。

 見たところ、リードと同じく獣人のようだ。

 陽の光を受けてキラキラ輝く透明感のあるブロンドの髪の毛は、腰までふわふわ伸びて風に靡き。

 髪の毛よりハッキリとした金色の瞳をした目は、長いまつ毛に縁取られている。

 鼻筋は通り、唇はふわふわ柔らかそうで思わず触れたくなる。

 グリーンの色味を基調としたドレスが、とてもよく似合っていた。

 彼女は、何やら嬉しそうに隣のリードネストを見上げ、頬を染めている。リードネストは.....不思議なほど仏頂面で、表情をピクリとも変えていない。
< 25 / 51 >

この作品をシェア

pagetop