麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
カーヴィンという家令も紹介された。
カーヴィンは五十代くらいのグレーヘアと整えられた髭がダンディな印象の男性だ。
目尻に刻まれた皺が、彼の優しげな目元を引き立てていて、物腰が柔らかく穏やかな雰囲気に包まれている。
自分の家では、使用人などいなかったし、家事も全てモモネリアが行っていたため、はじめは驚いた。
それというのも、邸の広さもあり管理のために必要なのだろうが、使用人の数がかなり多いのだ。
一ヶ月経って、漸くほとんどの使用人の顔と名前が一致してきたが、最初は苦労した。
自分がしてきたので、家の管理や人の世話をすることの大変さを知っているモモネリアは、顔と名前を知らない相手にそんなことを頼るのは絶対に嫌だった。
家のことや自分の世話、手伝いをしてくれたら、しっかり名前を呼んでお礼を言いたいし、感謝したい。