麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

 話は戻るが、女主人の話を聞いて、使用人たちは泣いて喜んだと侍女のハルカから聞かされた。


 何故泣いて喜ぶのか訳が分からず首を傾げると、主人のリードネストは、一生結婚などしないだろうと思われていたらしい。

 仕事一筋で、部下や使用人からの信頼は厚いが、それ以外で他人に関心を持たない人で。それこそ見目は麗しいのに、今まで女性の陰など微塵も感じないほど、女性に興味がなかった、と。

 もちろん、狼獣人という種族は番だけを愛することはわかっているが、リードネストは特に女性に冷たく、愛想のひとつも振りまくことはなかった。

 かと言って、番を探す素振りもなく、周囲の方がヤキモキしていたみたいだ。

 だから、リードネストの両親も、邸の使用人たちも、この家はリードネストの代で途絶えると覚悟していたが.....それがひっくり返って、リードネストの両親も泣いて、跳ねて、喜んだとか。

 ただ、みんな私の気持ちや出会いの経緯は知っているので、それ以上せっついてくることはなく、見守ってくれている状態だ。



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