フィオナの運命
しばらくして、ふと空気が動く気配がしたかと思うと、よく通る凛とした声が響いた。
「父上」
「おお、ルシアスか?」
国王の声色が幾分和らぐ。
(このお方が王太子殿下?)
顔を伏せたままそっと視線を上げると、スラリとした長身の見目麗しい王太子が、国王に近づいた。
国王は、にこやかに傍らに立つ王太子に話しかける。
「バギラが遂に探し出してくれた。シャーマンの末裔、命を操る力を持つ『生命の巫女』だ」
すると王太子がこちらに視線を移すのが分かり、フィオナは深く頭を下げる。
(どういうことなの? 生命の巫女とは、誰のこと?)
困惑していると、嬉しそうな国王の声がした。
「ルシアスよ、私の代わりに見届けてくれ。この巫女の力を」
フィオナはいよいよ追い詰められたように身を固くする。
王太子がじっとこちらの様子をうかがっていたかと思うと、静かに国王に向き直った。
「父上。巫女は緊張のあまり、今この場で力を使うことは難しいようです。どこか静かな部屋に場所を移しても構いませんか?」
「そうか、分かった」
どうやらこの状況から解放されるようだとホッとした時、またしても国王が威厳のある声で告げる。
「シャーマンの血を引く『生命の巫女』よ。我らが王家にかけられた呪いを解き、この国の次期国王となるルシアスの身を守りたまえ。そなただけが最後の希望だ。私の身を犠牲にしても良い。どうか、ルシアスだけは救ってやってほしい」
国王がわずかに視線を落として頭を下げたのを感じ、フィオナはこれ以上ないほど身体がすくんだ。
「畏れ多いことでございます、国王陛下。わたくしごときに、そのようなことを……。わたくしは、陛下がおっしゃるような力など」
その時、国王の隣で王太子がスッと片手を掲げ、小さく首を振る。
訴えるような視線に、これ以上言ってはならないと、フィオナは口を閉ざした。
「父上、それでは巫女を部屋に案内してまいります」
「ああ、そうだな。ユーリ、巫女をしっかりもてなすのだぞ」
フィオナのすぐ後ろに控えていた若い青年が「御意」と答え、フィオナに近づく。
「ご案内いたします。どうぞこちらへ」
「はい、ありがとうございます。それでは国王陛下、王太子殿下。失礼させていただきます」
深々とお辞儀してから、フィオナはようやくその場をあとにしたのだった。
「父上」
「おお、ルシアスか?」
国王の声色が幾分和らぐ。
(このお方が王太子殿下?)
顔を伏せたままそっと視線を上げると、スラリとした長身の見目麗しい王太子が、国王に近づいた。
国王は、にこやかに傍らに立つ王太子に話しかける。
「バギラが遂に探し出してくれた。シャーマンの末裔、命を操る力を持つ『生命の巫女』だ」
すると王太子がこちらに視線を移すのが分かり、フィオナは深く頭を下げる。
(どういうことなの? 生命の巫女とは、誰のこと?)
困惑していると、嬉しそうな国王の声がした。
「ルシアスよ、私の代わりに見届けてくれ。この巫女の力を」
フィオナはいよいよ追い詰められたように身を固くする。
王太子がじっとこちらの様子をうかがっていたかと思うと、静かに国王に向き直った。
「父上。巫女は緊張のあまり、今この場で力を使うことは難しいようです。どこか静かな部屋に場所を移しても構いませんか?」
「そうか、分かった」
どうやらこの状況から解放されるようだとホッとした時、またしても国王が威厳のある声で告げる。
「シャーマンの血を引く『生命の巫女』よ。我らが王家にかけられた呪いを解き、この国の次期国王となるルシアスの身を守りたまえ。そなただけが最後の希望だ。私の身を犠牲にしても良い。どうか、ルシアスだけは救ってやってほしい」
国王がわずかに視線を落として頭を下げたのを感じ、フィオナはこれ以上ないほど身体がすくんだ。
「畏れ多いことでございます、国王陛下。わたくしごときに、そのようなことを……。わたくしは、陛下がおっしゃるような力など」
その時、国王の隣で王太子がスッと片手を掲げ、小さく首を振る。
訴えるような視線に、これ以上言ってはならないと、フィオナは口を閉ざした。
「父上、それでは巫女を部屋に案内してまいります」
「ああ、そうだな。ユーリ、巫女をしっかりもてなすのだぞ」
フィオナのすぐ後ろに控えていた若い青年が「御意」と答え、フィオナに近づく。
「ご案内いたします。どうぞこちらへ」
「はい、ありがとうございます。それでは国王陛下、王太子殿下。失礼させていただきます」
深々とお辞儀してから、フィオナはようやくその場をあとにしたのだった。