フィオナの運命
同じ頃。
ルシアスも自室の窓から外の様子を眺めていた。

(すごい嵐だな)

『生命の巫女』はいきなり国王の前に連れて来られ、かなりの緊張状態にある。
しばらくは自分が様子を見るというユーリに、ルシアスは対応を任せることにした。

彼女が寝たきりの祖母のことを心配しているからと、ユーリが出かけることも許可したが、その時にはこんな荒天になる気配はなかった。

(ユーリは帰って来られるだろうか)

そう思って窓の外に目をやっていると、バロック式に整えられた庭園の先に見える門扉に、人影が走り寄るのが見えた。

(ん? 誰だ?)

見張りの兵が雨具を取りに詰所に入った隙に、人影は門のかんぬきに手をかけて、外へと身を滑らせる。

一瞬射し込んだ月明かりに、フィオナの姿が浮かび上がった。

(まさか! この嵐の中を一人で帰るつもりなのか?)

そう考えた次の瞬間、ルシアスはマントを掴んで部屋から飛び出した。

大階段を駆け下り外に出ると、厩舎を目指して走る。

馬房にいた白い愛馬に、急いで鞍を載せた。

「悪いな、カイル。少しつき合ってくれ」

声をかけながらくつわを噛ませると、飛び乗って手綱をさばき、一気に外へと走り出す。

「ルシアス様?」

驚く近衛兵に「門を開けろ!」と叫び、ルシアスはそのままスピードを上げて王宮から離れていった。
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