フィオナの運命
ルシアスの告白
それから10日後。
いつものように牧場仕事をしていたフィオナは、カイルに乗って現れたルシアスに驚いて頭を下げた。

「国王陛下」

カイルから降りたルシアスは、少し困ったような笑みを浮かべる。

「そう呼ばれると調子が狂う。できればここにいる間だけでも、忘れさせてほしい」

フィオナはためらいつつ、小さく頷いた。

「はい、ルシアス様」
「ありがとう」

ルシアスがカイルの馬装を外すと、カイルは一目散にオレンジ色の馬に駆け寄って行く。

そのまま二頭は仲良く並んで走り始めた。

「ルナか。いつの間にあんなに大きくなったんだ?」
「ふふ、おかげさまで元気に育っています。カイルとも相変わらず仲良しですね」
「ああ。離れていても互いを覚えていたんだな」
「ええ」

ルシアスとフィオナは丸太のベンチに腰掛けると、言葉もなく牧場を見つめる。

伸び伸びと駆け回るカイルとルナ。
二頭を優しく見守るメル。
のんびりと草を食べているヤギや羊達。

「のどかだな。まるで違う世界に来たようだ」

フィオナが淹れたハーブティーを飲みながら、ルシアスはそうポツリと呟いた。
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