フィオナの運命
その夜。
ベッドの中でフィオナは眠れぬ夜を過ごしていた。

あのあと、フィオナの気持ちが落ち着くまで抱きしめてくれていたルシアスは、最後にマーサから預かったという水晶の首飾りをフィオナの手に握らせた。

「きっとこの水晶が、いつまでもそなたを守ってくれるだろう。大切に持っているのだぞ?」

そう言って笑いかけたルシアスに、フィオナは本当は首を振りたかった。
私の心の支えは、あなたしかいないと。

だが、なんとか唇を噛みしめて堪えた。

(強くなりたい。運命を受け入れはしても、運命に負けたくはない。私が必ずルシアス様をお守りする。私になにができる? 教えて、おばあ様)

水晶を握りしめ、心の中でそう問いかける。

目を閉じて強く祈っていると、ふいに頭の中に言葉が聞こえてきた。

【王家の呪いを解けるのは、シャーマンの血を引く者だけ。最後にこの世に残された『生命の巫女』ただ一人が、呪いから王家を救えるだろう】

ハッとフィオナは目を見開く。

聞こえてきた言葉を、確かめるように呟いた。

「私だけが、ルシアス様を救える……」

声に出すと、沸々と勇気が湧いてきた。

「守ってみせる、ルシアス様を。私だけが救えるのだから。なにがあっても諦めない。絶対にルシアス様を死なせはしないわ」

決意を固めると、スッと感覚が研ぎ澄まされるのを感じた。

(私の命をルシアス様に注いでも、それはほんの少し寿命が延びるだけ。そうではなくて、呪いを解くのよ。どうすればいい? 必ず方法があるはず。なんとしても見つけてみせる。私の命に代えても)

水晶を握る手に力を込めて、フィオナは懸命に自分に言い聞かせる。

すると、かつて謁見の間で言われた前国王の言葉が蘇ってきた。

「預言者の水晶がそなたを映し出した。子ヤギのケガを、神から授かった力で治してみせるところを。そなたこそが、『生命の巫女』としての力を受け継いだシャーマンであると。バギラが遂に探し出してくれた。シャーマンの末裔、命を操る力を持つ『生命の巫女』を」

これだ!とフィオナは、解決の糸口を見つけた。

(バギラという名の預言者、その人に聞いてみよう。きっとなにかが分かるはず)

フィオナは一睡もせず、やるべきことを考えながら夜明けを待った。
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