フィオナの運命
「フィオナ?」

クタリと力を抜いて身を預けてきたフィオナの顔を、ルシアスはそっと覗き込む。

スヤスヤと眠るあどけないその寝顔に、愛おしさが込み上げてきた。

(まだ17歳だというのに。祖母を亡くした悲しさを抱えて、たった一人で……。それなのに俺の為に、こんな危険なことまで)

なにがあっても守り抜き、必ず無事に帰さなければ。

(俺がフィオナを幸せにしたい。でなければ、たとえ呪いが解けたとしてもバチが当たる。だが、本当に俺でいいのか? フィオナが望むのは、もっと平穏な幸せなのではないか……)

国王としての人生は、常に危険と隣り合わせ。

フィオナにとっては、そんな王宮ではなく、のどかな村で穏やかに暮らす方が幸せなのだとしたら?

そう思うと、自分の想いを口にはできない。

ルシアスは気持ちを振り切るように、フィオナを抱いて立ち上がる。

テントの中にそっと横たえて毛布をかけると、優しくその髪をなでた。

「フィオナ……」

切なげに名を呼ぶと、ルシアスはフィオナに顔を寄せ、その髪に口づけてから、静かに背を向けてテントを出た。
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