フィオナの運命
命に代えても
夜が明けてフィオナが目を覚ますと、ルシアスはフィオナに促されて2時間ほど眠った。

軽く食事を取ると、並んで馬を走らせる。

日が落ちるとまた川のほとりで夜を明かし、遂に3日目の午後、聖なる山の麓にたどり着いた。

「ここが……?」

フィオナはアーサーの手綱を引いて止めると、霧が立ち込める暗い山を見上げた。

まだ日は落ちていないというのに、どんよりとした空気に覆われて山頂が見えない。

聖なる山というよりは、魔王の住む山のように思えた。

「フィオナ、ここで待っていろ。まずは俺が様子を見てくる」

ルシアスがそう言うが、フィオナは首を振った。

「いいえ、離れる方が不安です。それにバギラ様の話では、足を踏み入れると迷路のようにさまよい続けるとのことでした。頼りになるのは、この水晶だけです」

フィオナは胸元の水晶を握りしめると、手綱を引いてピタリとカイルにアーサーを寄せた。

「分かった。決して俺から離れるなよ」
「はい」

二人でゆっくりと山の中に馬を進める。

木がうっそうと生い茂り、ますます暗がりが広がった。

道なき道を、ただ前へと進む。

だが、山であるにもかかわらず、一向に上り坂にはならない。

「ルシアス様、ずっと麓を歩き続けている気がします」
「そうだな。見ている風景も変わらない。それにどこから来たのか、定かではなくなってきた」
「ええ。おそらく何度も同じ場所を周っているだけかもしれません」

一旦山から出ようとしても、どこが出口かも分からない。

とにかく少し立ち止まり、もう一度辺りの様子をうかがうことにした。
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