フィオナの運命
消えた力
「ルシアス様! フィオナ!」

数日かけて無事に王宮に帰ると、ユーリが駆け寄って来た。

「よくぞご無事で。ずっと心配しておりました。それで……どうなりましたか?」

とにかく詳しく話をしようと、バギラを含めた四人で向かい合った。

「……なるほど」

長い話を聞き終えると、バギラは水晶に両手をかざす。

「王家の呪いは完全に解けました。陛下の身体を蝕んでいたいばらも、もうどこにも見当たりません」

やった!と、ユーリが喜びの声を上げた。

「それって、フィオナがルシアス様の呪いを解いてくれたってことですか?」

バギラは小さく頷く。

「シャーマンが王家に呪いをかけた時、唯一それを解く方法として、生命の巫女の力を自分の子孫に残したのです。呪いをかけられた王族が、いつか清き心を持ち、巫女と心を通わすことができればと。そして巫女が心からその者を救いたいと願えば、呪いが解けるようにしたのです。おそらくシャーマン自身が、一番それを願っていたでしょう」

しみじみとそう言ってから、バギラはフィオナに告げた。

「そなたは自分が持てる力の全てを注いで、呪いを解いた。もうそなたには……、巫女の力は残されていない」

ハッとルシアスは目を見開く。

「まさか、そんな。俺が、フィオナの力を……」

だがフィオナは、穏やかな表情でルシアスを見つめた。

「ルシアス様。わたくしが継いだ力は、王家の呪いを解く為のもの。それが叶い、役目を終えたのですから、喜ばしいことです」
「フィオナ……」

ルシアスは、グッと拳を握りしめてうつむく。

重苦しい雰囲気を変えるように、ユーリが明るく皆を見渡した。

「ルシアス様もフィオナも、お疲れでしょう? 身体を温めてからゆっくり休んでください。フィオナも、今夜はここに泊まって。明日、俺が牧場まで送るから。いいですよね? ルシアス様」

するとルシアスは「いや」と首を振る。

「フィオナを送るのはこの俺だ」

やけにきっぱり言い切るルシアスに驚いてから、ユーリはご機嫌な顔で頷いた。

「かしこまりました! ではフィオナ、侍女を呼んで浴殿に案内するよ。行こうか」
「あ、はい。それではルシアス様、バギラ様、失礼いたします」

立ち上がってお辞儀をすると、ルシアスが「ゆっくり休め」と声かける。

「ありがとうございます。ルシアス様も」

そう言ってから、フィオナはユーリに続いて部屋を出た。
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