フィオナの運命
途中に諸外国にも立ち寄り、晩餐会で交友関係を築きながら、3日かけて一行はジャイラ共和国に到着した。

「ようこそお越しくださいました。シャーマン様、国王陛下」

宮殿の入り口で厚い歓迎を受けながら馬車を降りたフィオナは、ん?と首をかしげる。
なぜか宮殿に入ったあとも「シャーマン様、国王陛下」と歓迎の言葉を受けた。

(どうして国王陛下の方があとに呼ばれるのかしら?)

通された謁見の間で待っていた、サージャリーという名の新たなジャイラの総裁も、同じようにまずはフィオナに頭を下げた。

「遠いところをようこそお越しくださいました、シャーマン様」

若々しく彫刻のように体格のいいサージャリーは、続いてようやくルシアスに握手を求める。

「お目にかかれて大変光栄に存じます、ルシアス国王陛下」
「こちらこそ。初めまして、サージャリー総裁」

挨拶を交わすと、サージャリーは再びフィオナに向き直った。

「お会い出来るのを心待ちにしておりました。フィオナ様」
「え? あの、わたくしをご存じなのですか?」
「もちろんでございます。ここジャイラ共和国では、一番位が高いのがシャーマン、王族は二番目とされています」
「そうなのですね」

ルシアスも、初耳だとばかりに驚く。

「それは存じ上げませんでした。前国王とお会いした時も、そのようなお話はありませんでしたし」

するとサージャリーは苦笑いを浮かべる。

「王族はそれを認めていませんでしたからね。我が国は、はるか昔からシャーマンの力によって救われてきた歴史があります。シャーマンの存在なくしては、今の国の繁栄はありませんでした。国民の誰もがシャーマンに感謝し、シャーマンを神と同じように崇めています。それを快く思わなかった王族が、力で国民をねじ伏せようとしたのです」
「そうだったのですか……」
「ええ。更には悪魔と手を組んで預言者を操り、あなたの命をも奪おうとした。本当に申し訳ありませんでした」

そう言ってサージャリーは、ルシアスに深々と頭を下げた。

「顔を上げてください、総裁。あなたが悪い訳ではありませんから」
「いいえ、ここまで王族を好き放題にさせてしまった我々の責任があります。これ以上は許せないと、国民は一気に団結して立ち上がり、クーデターを起こしました。ルシアス国王陛下のお命が無事で、本当に良かった。国民はあなたに心から申し訳ない思いでいっぱいです」

控えていた使用人達も、一斉に深々と頭を下げる。

「本当にもう大丈夫ですから。それより、今後は我がアレクシア王国とも友好関係を結んでいただきたい」
「それはもちろんでございます。提示していただいた条約の内容は全面的に受け入れ、こちらこそどうかお願い申し上げたい。我々と幾久しく、友好な関係を築いていただきたい」

話はすぐにまとまり、ルシアスとサージャリーがそれぞれサインをして条約は締結された。

「アレクシア王国とジャイラ共和国が率先して、この世界に平和の輪を広げていかんことを」

しっかりと頷いて握手を交わすと、肩の荷が下りたように、サージャリーが笑顔を浮かべた。

「ルシアス様、フィオナ様。しばらくはどうぞお部屋でお休みください。夜は晩餐会を催しますので、ぜひ楽しんでいただければと」
「ありがとうございます」
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