フィオナの運命
ルシアスがフィオナの手を取って立ち上がると、サージャリーは思い出したように口を開いた。
「フィオナ様。もしよろしければ、あなたの一族に伝わる水晶を見せていただけませんでしょうか?」
「はい、こちらです」
フィオナは胸元の水晶の首飾りを手にしてサージャリーに見せた。
「これは……!」
サージャリーは驚いたように目を見開く。
「あの、これがなにか?」
フィオナが声をかけると、サージャリーはハッと我に返った。
「失礼いたしました。フィオナ様、シャーマンや預言者の位が水晶の色によって変わるのはご存じでしたか?」
「え? それは存じませんでした」
「あなたのその水晶は、透き通るような正真正銘のクリスタル。シャーマンの中で一番位が高い一族にしか与えられません。私も初めて目にしました」
「これが?」
フィオナは手に載せた水晶をまじまじと見つめる。
シャーマンに階級があることも、自分の一族が一番高い位であることも、全く知らなかった。
言われてみれば、バギラが持っている水晶は薄い青色だったことを思い出す。
「僭越ながらフィオナ様、私もシャーマンの血を引く末裔なのでございます」
「そうなのですか?」
サージャリーの言葉に、フィオナもルシアスも驚いて顔を上げた。
「はい。私が受け継いだ水晶は、黒い水晶。階級は、青色に次いで上から3番目と言われています。私の一族が神から与えられた力は、ケガや病気をはねのける力。クーデターの最前線でも無傷でいられたのはそのおかげです。市民の代表として総裁となったのも、その力があったからこそなのです」
「そうでしたか。ですがわたくしには、今はもうなにも力がありません。位が高いなどとは、とても思えないのです」
「フィオナ様。力が息を潜めているのは、今はその必要がないからです。言わば平和である証。あなたの中に脈々と受け継がれてきたシャーマンの血筋は、決してなくなったりはしません。いつか必要になった時は、必ずまたあなたにその力が宿るはずです」
願わくば、必要とされないことが一番ですが、とサージャリーは笑顔で付け加えた。
ようやく事情が全て呑み込めたと、ルシアスは頷く。
「あなた方の中では、王族の私よりもシャーマンであるフィオナの方が位が高いのですね」
「はい。あっ!いえ、失礼いたしました」
慌てて否定するサージャリーに、ルシアスは楽しそうに笑い出した。
「いや、それを聞いて私もとても嬉しいです。私が選んだ妃を、あなた方は讃えてくださるのですから」
「ええ。シャーマンの中でも最高位の方とこうしてお会いできるなんて、夢にも思いませんでした。てっきり古い言い伝えだとばかり思っていましたから。フィオナ様は間違いなく、神にもっとも愛された清き魂を持つ一族でいらっしゃいます。その澄みきった水晶のように」
サージャリーが、水晶を握りしめているフィオナに笑顔を向けると、ルシアスもフィオナに微笑みかけた。
「言っただろう? フィオナ。そなたは俺が選んだ最高の妃だ」
「ルシアス様……」
戸惑いながらはにかんだ笑みを浮かべるフィオナを、ルシアスは優しく胸に抱き寄せた。
「フィオナ様。もしよろしければ、あなたの一族に伝わる水晶を見せていただけませんでしょうか?」
「はい、こちらです」
フィオナは胸元の水晶の首飾りを手にしてサージャリーに見せた。
「これは……!」
サージャリーは驚いたように目を見開く。
「あの、これがなにか?」
フィオナが声をかけると、サージャリーはハッと我に返った。
「失礼いたしました。フィオナ様、シャーマンや預言者の位が水晶の色によって変わるのはご存じでしたか?」
「え? それは存じませんでした」
「あなたのその水晶は、透き通るような正真正銘のクリスタル。シャーマンの中で一番位が高い一族にしか与えられません。私も初めて目にしました」
「これが?」
フィオナは手に載せた水晶をまじまじと見つめる。
シャーマンに階級があることも、自分の一族が一番高い位であることも、全く知らなかった。
言われてみれば、バギラが持っている水晶は薄い青色だったことを思い出す。
「僭越ながらフィオナ様、私もシャーマンの血を引く末裔なのでございます」
「そうなのですか?」
サージャリーの言葉に、フィオナもルシアスも驚いて顔を上げた。
「はい。私が受け継いだ水晶は、黒い水晶。階級は、青色に次いで上から3番目と言われています。私の一族が神から与えられた力は、ケガや病気をはねのける力。クーデターの最前線でも無傷でいられたのはそのおかげです。市民の代表として総裁となったのも、その力があったからこそなのです」
「そうでしたか。ですがわたくしには、今はもうなにも力がありません。位が高いなどとは、とても思えないのです」
「フィオナ様。力が息を潜めているのは、今はその必要がないからです。言わば平和である証。あなたの中に脈々と受け継がれてきたシャーマンの血筋は、決してなくなったりはしません。いつか必要になった時は、必ずまたあなたにその力が宿るはずです」
願わくば、必要とされないことが一番ですが、とサージャリーは笑顔で付け加えた。
ようやく事情が全て呑み込めたと、ルシアスは頷く。
「あなた方の中では、王族の私よりもシャーマンであるフィオナの方が位が高いのですね」
「はい。あっ!いえ、失礼いたしました」
慌てて否定するサージャリーに、ルシアスは楽しそうに笑い出した。
「いや、それを聞いて私もとても嬉しいです。私が選んだ妃を、あなた方は讃えてくださるのですから」
「ええ。シャーマンの中でも最高位の方とこうしてお会いできるなんて、夢にも思いませんでした。てっきり古い言い伝えだとばかり思っていましたから。フィオナ様は間違いなく、神にもっとも愛された清き魂を持つ一族でいらっしゃいます。その澄みきった水晶のように」
サージャリーが、水晶を握りしめているフィオナに笑顔を向けると、ルシアスもフィオナに微笑みかけた。
「言っただろう? フィオナ。そなたは俺が選んだ最高の妃だ」
「ルシアス様……」
戸惑いながらはにかんだ笑みを浮かべるフィオナを、ルシアスは優しく胸に抱き寄せた。