フィオナの運命
40分ほど馬車に揺られ、着いたのは初めて目にする王宮だった。

(なんて大きくて美しいの。信じられない。王宮ってこんなにも立派なのね)

自分の住む田舎とはまるで別世界。

おとぎ話に出てくるお城のようだと思いながら見上げていたフィオナは、ふと我に返って自分の姿を見下ろす。

(私、こんな格好なのに)

牧場仕事をした時のまま、シンプルな白いフラウスにブルーのスカートを合わせた質素な装いだった。

「こちらへ」

短く告げた兵士は、フィオナを振り返らずに歩いて行く。

仕方なくフィオナもそれに続いた。

高くそびえ立つ重厚な扉が左右に開かれると、その先に広がった光景に、フィオナは目を見開いて息を呑む。

天井にはまばゆいばかりのシャンデリア、大理石の床にはロイヤルブルーの絨毯。

緩やかなカーブを描き、まるで天上界へといざなうような大階段。

なにもかもがフィオナを圧倒した。

「ご案内いたします。どうぞこちらへ」

扉の横に控えていた執事のような装いの男性に声をかけられ、フィオナは恐る恐るあとについて大階段を上がる。

足元のふかふかした感触に驚きつつ、豪華な絵画や壁の彫刻に見とれながら、回廊をひたすら奥へと進んだ。

「こちらでお待ちください」
「はい」

かろうじて返事をし、開かれた扉から大きな広間へ足を踏み入れる。

きらびやかな内装を見回していると、「国王陛下のお出ましです」と言われて、フィオナは慌ててひざまずいた。
< 8 / 82 >

この作品をシェア

pagetop