喫茶店の常連客に求婚されました!【店ごと買い取るってどういう事ですか?】
「この立木の印鑑、悠乃さんがこれから使ってもいいよ」
「あー、そうだね、使わせてもらうよ」
慎重に印鑑を押して…
「出来た!」
悠乃はぱちぱちと拍手をした。
「あとは提出だけだね」
「悠乃さん、食事が終わったら散歩で提出に行かないか?」
「えっ、今日?住んでいる役所に出すのかと思ってた」
「本人確認があればどこでも提出出来るらしい」
「悠乃さんの誕生日だし記念になるよ」
「そうだね…食べよっか」
あれ?あまり嬉しそうじゃなかった?
克哉は違和感を覚えた。
とりあえず食事を堪能して少し悠乃さんはほろ酔いになっていた。
「出ようか」
「はーい」
2人は雲母ホテルから外に出た。
克哉がスマホを見ながら歩き出す。
悠乃はそれについて行ってると途中で歩くのを止めた。
「疲れた」
「悠乃さん、まだ10分しか歩いてないよ、あと少し頑張ろう」
「記念日って大事?」
悠乃は突然言い出した。
「悠乃さん?」
「悠乃は今まで記念日が楽しかった事がないの…克くんは去年の1周年記念旅行は知ってるよね」
「うん」
「悠乃っていつも記念日にろくな事がないんだ…両親の事故も結婚記念日で二人で食事に行った帰りだった、高校で初めて彼氏が出来て、関係を持ったら次の日噂になってて彼氏が写真撮ってて童貞、処女喪失記念日とか流された…ぐすっ…大学の時の彼氏も1周年記念でお祝いしたらその日に振られた…重いって」
「悠乃さん…それで結婚も決まったのに前向きじゃなかったんだね」
「克くんの事は好きだし、結婚もしたいとは思ってるよ、だけど生活が違いすぎるの…今まで悠乃は迷惑をかけないように生きてきた、一人で生きなきゃって、伯父さんの家からも出て一人で生活しようって…」
「俺は迷惑なんて思わないよ」
「人の気持ちは変わる…克くんが悠乃の願いを叶えてくれるのは嬉しい…でも甘えてわがままになっちゃいそうで怖いの」
悠乃はその場に座り込んだ。