冷徹外科医の独占愛 ~結婚はいらないはずだったのに~

第1章 結婚しない女

ー またおまえがやったのか!-

ー 違うわよ!やったのは、あなたでしょ!-

遠くから聞こえる罵倒の声。

それは、静かであった夜も繰り返し行われた。

私はそれを、戸の影から何も言わずに見るしかなかった。

「お父さん、お母さん。喧嘩は止めて。」

そんな言葉を吐くのが、精一杯だった。

すると決まって、お母さんが戸を開けて私を抱きしめてくれた。

「ああ、紗季。嫌な思いをさせたわね。」

母は、本当に私の事を可哀想だと思って、抱きしめていたのか。

今となっては定かではない。

ただその時だけは、母も父を怒鳴ったりしないし、父も母に暴力をすることはなかった。

嘘でも、母が抱きしめてくれている瞬間だけが、私の幸せな時間だった。

そして私を寝かしつけると、母は言った。

「紗季がいなかったら、今頃一人になれたのに。」
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
一流企業の御曹司・深瀬仁也、35歳。女には困らず、秘書の朱音とは割り切った関係を続け、政略結婚の相手には十歳下の美しい令嬢・浅田愛華が用意されていた。誰もが羨む相手。だが、完璧な若い婚約者を前にしても、仁也の心は満たされない。そんな時、花屋を営む45歳の結城美波と出会う。若くもなく、華やかでもない。けれど花を束ねる彼女の横顔は、不思議な色気と温もりを帯びていた。仕事で傷ついた夜、美波に抱きしめられた仁也は、初めて御曹司ではない弱い自分を受け止められる。慰めの一夜のはずだった。だが仁也は、美波の部屋へ通い、彼女の食卓に癒やされ、欲望も孤独もすべて彼女へ向けるようになる。若い婚約者ではなく、45歳の花屋を選ぶと決めた仁也は、家も世間も捨てる覚悟で美波に求婚する。
表紙を見る 表紙を閉じる
※男性視点の物語です。 ※濃厚ラブシーンが含まれます。苦手な方はご遠慮下さい。
45歳派遣OL、年下上司に囲われて溺愛されました

総文字数/5,918

恋愛(オフィスラブ)15ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
派遣社員として働く45歳の井川聡美は、37歳の上司・羽間直哉を深く尊敬していた。仕事ができ、部下のミスもフォローする完璧な直哉は、聡美にとって近づきがたい憧れの存在。自分にはもう恋愛など無縁だと、心に鍵をかけていた。 転機は飲み会の帰り。財布を失くし途方に暮れる聡美を、直哉は「そういう時は俺を頼ってください」と優しくエスコートする。お礼に自宅へ招いたことが引き金となり、完璧だったはずの上司は、聡美の部屋へ甘えるように通いつめるようになる。 仕事中とは別人のような弱さを見せる直哉に、聡美は抗いようのない恋心を抱いていく。やがて直哉の独占欲は頂点に達し、仕事ができる男の仮面を脱ぎ捨てる。「聡美さん、俺に囲われてください」。夜の帳が降りる中、完璧な上司は聡美のすべてを奪い、決して逃がさない執着で彼女を溺愛し始める。二人の秘密の恋と、甘い囲い込みの生活が幕を開ける。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop