祝福のあとで
時計を見ると、
思ったより時間が経っている。
直は、
名残惜しそうに視線を落としてから言った。
「……そろそろ、行く」
「うん」
玄関まで見送る。
ドアを開ける前、
直が振り返る。
さっきより、
少しだけ柔らかい顔。
「無理、させてないよね」
最後まで、
ちゃんと確認する人。
ひかりは、
小さく笑った。
「してたら、引き止めてる」
直は、
一瞬だけ安心したみたいに息を吐く。
「……じゃあ、また」
でも、
最後に一言だけ。
「次は、泊まれる日に」
ひかりの胸が、
静かに跳ねた。
「……そのときは」
一拍、間を置いてから。
「ちゃんと、ごはん作ります」
直は、
少しだけ驚いた顔をして、
それから、ふっと笑う。
「楽しみにしてます」
敬語なのに、
さっきよりずっと近い声。
「じゃあ、今度は
俺がちゃんと泊まる日で」
ドアが閉まって、
足音が遠ざかる。
それなのに、
部屋は、さっきより温かい。
ひかりは、
壁に背を預けて、
ゆっくり息を吐いた。
ちゃんと、
恋人だった。
それを、
身体より先に、
心が知っていた夜だった。
思ったより時間が経っている。
直は、
名残惜しそうに視線を落としてから言った。
「……そろそろ、行く」
「うん」
玄関まで見送る。
ドアを開ける前、
直が振り返る。
さっきより、
少しだけ柔らかい顔。
「無理、させてないよね」
最後まで、
ちゃんと確認する人。
ひかりは、
小さく笑った。
「してたら、引き止めてる」
直は、
一瞬だけ安心したみたいに息を吐く。
「……じゃあ、また」
でも、
最後に一言だけ。
「次は、泊まれる日に」
ひかりの胸が、
静かに跳ねた。
「……そのときは」
一拍、間を置いてから。
「ちゃんと、ごはん作ります」
直は、
少しだけ驚いた顔をして、
それから、ふっと笑う。
「楽しみにしてます」
敬語なのに、
さっきよりずっと近い声。
「じゃあ、今度は
俺がちゃんと泊まる日で」
ドアが閉まって、
足音が遠ざかる。
それなのに、
部屋は、さっきより温かい。
ひかりは、
壁に背を預けて、
ゆっくり息を吐いた。
ちゃんと、
恋人だった。
それを、
身体より先に、
心が知っていた夜だった。