祝福のあとで
下見の日から、数日が経っていた。
仕事に追われて、
気づけば、直とゆっくり過ごすのも久しぶりだった。
その日は、休日。
いつもみたいに、
Bar Afterで少しだけ飲んでから、
そのまま、直の家に泊まった。
特別なことは、何もしていない。
ただ、
一緒に帰って、
一緒に夜を終えただけ。
***
目を覚ましたとき、
部屋にはもう、朝というより昼に近い光が満ちていた。
カーテンの隙間から差し込む白い光が、
ゆっくりと天井をなぞっている。
——遅い。
そう思ったけれど、
時間を確かめようという気にはならなかった。
ひかりは、
シーツの中で小さく身じろぎをする。
体が、まだ重たい。
眠気のせいだけじゃない。
記憶が、きちんと残っているせいだった。
昨夜のこと。
言葉より先に触れた時間。
朝になっても、終わらなかったこと。
それを思い出して、
ひかりは一度、目を閉じる。
シーツに残る、微かな温もり。
ひかりは、
ゆっくり瞬きをしてから、
隣に手を伸ばす。
もう、いない。
少しだけ残念で、
でも、
それが自然な朝でもあることを思い出す。
枕元のスマートフォンを手に取ると、
画面に、通知が一つ。
――コンビニ行ってくる。
――何か欲しいものあったら連絡して。
送信時間は、
五分ほど前。
ひかりは、
思わず小さく息を吐いた。
起こさないように、
そっと出ていったんだろう。
そう思うと、
胸の奥が、少しだけ柔らぐ。
まだ、
身体は完全に目覚めきっていない。
昨夜の名残が、
どこかに残ったまま。
ひかりは、
ベッドの上で身体を起こし、
シーツをたぐり寄せる。
服を着る気には、
まだ、なれなかった。
このまま、
少しだけ、
待っていようと思った。
直が戻ってくるまで。
——そのとき。
静かな部屋に、
不意に音が響いた。
ピンポーン。
一瞬、
何の音か分からなくて。
次の瞬間、
背中を、
ぞくりと何かが走った。
仕事に追われて、
気づけば、直とゆっくり過ごすのも久しぶりだった。
その日は、休日。
いつもみたいに、
Bar Afterで少しだけ飲んでから、
そのまま、直の家に泊まった。
特別なことは、何もしていない。
ただ、
一緒に帰って、
一緒に夜を終えただけ。
***
目を覚ましたとき、
部屋にはもう、朝というより昼に近い光が満ちていた。
カーテンの隙間から差し込む白い光が、
ゆっくりと天井をなぞっている。
——遅い。
そう思ったけれど、
時間を確かめようという気にはならなかった。
ひかりは、
シーツの中で小さく身じろぎをする。
体が、まだ重たい。
眠気のせいだけじゃない。
記憶が、きちんと残っているせいだった。
昨夜のこと。
言葉より先に触れた時間。
朝になっても、終わらなかったこと。
それを思い出して、
ひかりは一度、目を閉じる。
シーツに残る、微かな温もり。
ひかりは、
ゆっくり瞬きをしてから、
隣に手を伸ばす。
もう、いない。
少しだけ残念で、
でも、
それが自然な朝でもあることを思い出す。
枕元のスマートフォンを手に取ると、
画面に、通知が一つ。
――コンビニ行ってくる。
――何か欲しいものあったら連絡して。
送信時間は、
五分ほど前。
ひかりは、
思わず小さく息を吐いた。
起こさないように、
そっと出ていったんだろう。
そう思うと、
胸の奥が、少しだけ柔らぐ。
まだ、
身体は完全に目覚めきっていない。
昨夜の名残が、
どこかに残ったまま。
ひかりは、
ベッドの上で身体を起こし、
シーツをたぐり寄せる。
服を着る気には、
まだ、なれなかった。
このまま、
少しだけ、
待っていようと思った。
直が戻ってくるまで。
——そのとき。
静かな部屋に、
不意に音が響いた。
ピンポーン。
一瞬、
何の音か分からなくて。
次の瞬間、
背中を、
ぞくりと何かが走った。