祝福のあとで
 ひかりは、
 ベッドの脇に置いてあった服に手を伸ばした。

 迷うほどの時間はかけず、
 肌に一番近いものから身につけていく。

 布が触れるたび、
 少しずつ、現実に戻っていく感覚。

 鏡を見ることはしなかった。

 今の自分を、
 確認する必要はない気がしたから。

 ブランケットを畳み、
 最後に、深く息を吸う。

 そのとき。

 ドアの向こうで、
 鍵の開く音がした。
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