祝福のあとで
エピローグ
帰国便のアナウンスが流れて、
ひかりは小さく息を吐いた。
一年。
長かったようで、
振り返れば、
あっという間だった。
海外での新規式場オープン。
立ち上げから運営まで、
気を張り続けた日々。
でも、
孤独だったわけじゃない。
画面越しに、
何度も話した。
直は、
「無理してない?」と聞いて、
「大丈夫なら、それでいい」と言った。
会いに来てくれたことも、
二度あった。
慣れない土地で、
彼の姿を見つけたとき、
ひかりは、
自分がちゃんと“待たれている”と知った。
帰国後の空気は、
少しだけ湿っていて、
懐かしい匂いがした。
ルミエールの中庭。
あの頃と同じ場所。
でも、
ひかりはもう、
戻ってきた側だった。
「おかえり」
声がして、
振り返る。
直が立っている。
一年前より、
少しだけ表情が柔らかい。
でも、
目は変わらない。
急がせない目。
離れる気のない目。
「ただいま」
それだけで、
胸の奥が静かに満たされた。
二人は、
並んで歩き出す。
話すことは、
たくさんあるはずなのに、
今は言葉がいらなかった。
「……一年」
直が、
ぽつりと言う。
「早かったですね」
「うん」
ひかりは頷く。
「でも、
ちゃんと“一年分”だった」
仕事も、
距離も、
不安も。
全部。
直は、
少しだけ笑った。
「待つって、
思ってたより、
悪くなかったです」
「それ、ずるい」
「事実です」
二人の間に、
穏やかな沈黙が落ちる。
もう、
答えを急がなくていい。
でも、
逃げる必要もない。
ひかりは小さく息を吐いた。
一年。
長かったようで、
振り返れば、
あっという間だった。
海外での新規式場オープン。
立ち上げから運営まで、
気を張り続けた日々。
でも、
孤独だったわけじゃない。
画面越しに、
何度も話した。
直は、
「無理してない?」と聞いて、
「大丈夫なら、それでいい」と言った。
会いに来てくれたことも、
二度あった。
慣れない土地で、
彼の姿を見つけたとき、
ひかりは、
自分がちゃんと“待たれている”と知った。
帰国後の空気は、
少しだけ湿っていて、
懐かしい匂いがした。
ルミエールの中庭。
あの頃と同じ場所。
でも、
ひかりはもう、
戻ってきた側だった。
「おかえり」
声がして、
振り返る。
直が立っている。
一年前より、
少しだけ表情が柔らかい。
でも、
目は変わらない。
急がせない目。
離れる気のない目。
「ただいま」
それだけで、
胸の奥が静かに満たされた。
二人は、
並んで歩き出す。
話すことは、
たくさんあるはずなのに、
今は言葉がいらなかった。
「……一年」
直が、
ぽつりと言う。
「早かったですね」
「うん」
ひかりは頷く。
「でも、
ちゃんと“一年分”だった」
仕事も、
距離も、
不安も。
全部。
直は、
少しだけ笑った。
「待つって、
思ってたより、
悪くなかったです」
「それ、ずるい」
「事実です」
二人の間に、
穏やかな沈黙が落ちる。
もう、
答えを急がなくていい。
でも、
逃げる必要もない。