祝福のあとで
第19章 並んで立つ理由
フェア当日の会場は、
まだ本番前だというのに、すでに人の気配で満ちていた。
グラスの音。
照明の調整。
控えめなBGM。
ひかりは進行表を確認しながら、
併設バーの様子に視線を送る。
カウンターの内側で、
直が黙々と準備を進めていた。
必要なものだけを並べ、
動きは最小限。
でも、
無駄がない。
仕事として一緒に立っていることが、
やっぱり少し誇らしかった。
「ひかりさん」
声をかけられて振り向くと、
展示スペースの奥から、紬ちゃんが手を振っていた。
紬《つむぎ》ちゃんは、
この一年ほどで、ルミエールのフェアに出入りするようになったフリーのジュエリーデザイナーだった。
小さなアトリエで、
婚約指輪やマリッジリングを一つずつ手作りしている。
「結婚式って、やっぱり特別じゃないですか」
そう言って笑う顔は、
いつも少しだけ夢を見ている。
ひかりとは、
フェアのたびに顔を合わせるうちに、
自然と話すようになった。
仕事の合間に、
最近のデザインの話や、
どんな新郎新婦が来ていたかを共有する程度。
それでも、
結婚に対してどこか距離を置くひかりと、
結婚に希望を抱いている紬ちゃんは、
不思議と噛み合っていた。
だからこそ、
彼女の「違和感」は、
ひかりにも、すぐ伝わった。
まだ本番前だというのに、すでに人の気配で満ちていた。
グラスの音。
照明の調整。
控えめなBGM。
ひかりは進行表を確認しながら、
併設バーの様子に視線を送る。
カウンターの内側で、
直が黙々と準備を進めていた。
必要なものだけを並べ、
動きは最小限。
でも、
無駄がない。
仕事として一緒に立っていることが、
やっぱり少し誇らしかった。
「ひかりさん」
声をかけられて振り向くと、
展示スペースの奥から、紬ちゃんが手を振っていた。
紬《つむぎ》ちゃんは、
この一年ほどで、ルミエールのフェアに出入りするようになったフリーのジュエリーデザイナーだった。
小さなアトリエで、
婚約指輪やマリッジリングを一つずつ手作りしている。
「結婚式って、やっぱり特別じゃないですか」
そう言って笑う顔は、
いつも少しだけ夢を見ている。
ひかりとは、
フェアのたびに顔を合わせるうちに、
自然と話すようになった。
仕事の合間に、
最近のデザインの話や、
どんな新郎新婦が来ていたかを共有する程度。
それでも、
結婚に対してどこか距離を置くひかりと、
結婚に希望を抱いている紬ちゃんは、
不思議と噛み合っていた。
だからこそ、
彼女の「違和感」は、
ひかりにも、すぐ伝わった。