Toxic・Romance
「ああ、社報でも一度取り上げてましたね」

 脳内にあの美女を思い浮かべた。おそらく、間違いではないはず。

「ね。憧れている人多そうだったのにねえ……働きやすくなったとはいえ、女は出産がひとつのターニングポイントだよね」

「旧家の令嬢って話だし、家の圧力があったんじゃないの?」

 旧家の令嬢……。

 そのワードに、妄想トリップするのは造作ないこと。

 舞台は大正時代、身分差の恋なんてどうだろう。
 
 作りかけの妄想がメタモルフォーゼした。けれど、これも在り来りなのかな……。

 その言葉が過ぎると、途端に妄想が萎れていくのを感じては、一人、ため息。

「まあそれはいいとして。月島は彼氏はいないの?」

「えっ、」

 安心しようとした心にもう一度刃を突き立てられた気がした。
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