Toxic・Romance
企画って、まさかあの人じゃないよね……?
「私、準備したらすぐ退散していいですか……」
「え、なんで?まあ月島は絶対参加じゃないから別にいいんだけど、いい経験になるよ?」
「いや、その、まだ途中の仕事がたくさん残っているので……」
「一年目なのに優秀すぎて、えらく気に入られちゃったのね」
「笑い事じゃないですよ、一生仕事回されて、ストレスすごいですって」
もー……と、ため息混じりに拗ねた。夜永さんは優秀と言ってくれるけれど、単純に、誰かに任されるとつい気合が入るだけだ。
期待に応えたい。自分も周囲も満足させたいから、つい自分のキャパシティを越えた分量の仕事も引き受けてしまうし、あのコメントが胸に刺さってずっと消えないのも、変に完璧主義な性格のせいだ。
会議室に入ると、まだ誰の気配もない空間に、蛍光灯の白さだけが規律正しく並んでいた。
「……よし、ちゃちゃっと終わらせようっと」
独り言を落としながら、両腕いっぱいに抱えた資料を長机に並べていく。
机の中央を基準に等間隔に配置している自分にふと気づき、別にここまでしなくてもいいのにと思うのに、指先は勝手に動くのでやるせない。