Toxic・Romance
その曖昧で、誠実さと軽さが同居するような態度が彼らしさでもあり、私が求めているものでもある。ゆえに私は、この会話の全てを、一言一句、記憶していた。
それより、企画のひと、彼女が出来たの?
その上で私は情報を精査する。
初耳だし、これは一大ニュースだ。
彼は弊社の女性たちにとってアイドル的な存在だ。
女性社員は彼を崇め、推しのように騒いでいる。イコール、彼にまつわることはまたたく間に広がる。
彼に恋人がいるって話はしばらく聞かないし、そもそも恋愛に発展しそうな雰囲気、全くなかったよね?
いつ?本気になった?だれを?だれと?
どんな風に触れて、どんな愛をささやくの。
ああ、どうしよう。こんな妄想が捗って仕方ない。
彼の恋愛観と私の理想は合致しており、そしてそのことを彼もまた知っている。
「長続きさせたいなら、一回話せよ」
「ん」
わたしを他所に、もう時間が無いと判断したらしい男たちが、席を立つ。
「戻りますか」
「俺、あと一本吸い終わって戻るわ」
「おー」
二人が笑いながら出ていくと、スライド式の扉が重たい音を立てて閉まる。すると企画のひとは、吸い始めたばかりの煙草を灰皿に押し当てた。灰が崩れる音が、妙に大きく聞こえた。
それより、企画のひと、彼女が出来たの?
その上で私は情報を精査する。
初耳だし、これは一大ニュースだ。
彼は弊社の女性たちにとってアイドル的な存在だ。
女性社員は彼を崇め、推しのように騒いでいる。イコール、彼にまつわることはまたたく間に広がる。
彼に恋人がいるって話はしばらく聞かないし、そもそも恋愛に発展しそうな雰囲気、全くなかったよね?
いつ?本気になった?だれを?だれと?
どんな風に触れて、どんな愛をささやくの。
ああ、どうしよう。こんな妄想が捗って仕方ない。
彼の恋愛観と私の理想は合致しており、そしてそのことを彼もまた知っている。
「長続きさせたいなら、一回話せよ」
「ん」
わたしを他所に、もう時間が無いと判断したらしい男たちが、席を立つ。
「戻りますか」
「俺、あと一本吸い終わって戻るわ」
「おー」
二人が笑いながら出ていくと、スライド式の扉が重たい音を立てて閉まる。すると企画のひとは、吸い始めたばかりの煙草を灰皿に押し当てた。灰が崩れる音が、妙に大きく聞こえた。