一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
「S:LOWさん捌け後、短い映像流れます。
その後暗転したらすぐにメインステージのバミリ位置についてください。10秒後、0番にピンスポ。南さんのセリフ後に曲入りします。」
資料を巡りながら事務的に説明を進めていくスタッフさんの指示に、一つずつ返事を返す。
立ち位置の調整、カメラ割りの説明……頭がいっぱいになるほどの情報を浴びた後、ようやくスタンバイに入った。
「では、暗転後からリハ開始します。
照明落とします。5秒前――……」
すうっと音もなく照明が落ちて、暗転。
暗闇で発光するバミリだけを頼りにポジションに走る。
「10 9 8……」
その間にも耳に直接届くカウントダウン。
それよりも大きく心臓の音が耳奥に響いていた。
「……4 3 2 1」
みんなと毎日あれだけ練習してきたんだから、大丈夫。
プレッシャーなんて、きっと跳ね除けられる……
「0」
バンッと暗闇を切り裂く強い白熱光のスポットライトが南を照らす。
「Are you ready?
――We are “flying-Hi”.」
南の声がいつもより固い。
思った瞬間ステージが強烈な白と青の光に包まれ、私達のシルエットが浮かび上がる。
立ち止まることなんて許されず、容赦なく流れ出す疾走感のあるシンセサイザのサウンド。
順に振り向いていくみんなの顔も、なんとか笑顔を保っているみたい。
それでもみんなが歌い繋いで、私の番が回ってくる。
正面に振り向いて、初めて“美嶋千景”がお目見えする。
そういう演出を込めた振り付けだ。