一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
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連れてこられたのは道具搬入口の隅に止まる、黒塗りのミニバンの中。
並んで座る後部座席の窓にはスモークが貼られて、外から中は伺えない。
さっき戻った時には気付けなかった。お兄ちゃんの送迎車だ。
「いつ帰ってきてたの?」
「今朝。SEIKOさんにお前のデビュー早まったって聞いてスケジュール調整してやった。感謝しろ」
「……ありがとうございます……」
この命令口調。低いトーンの横柄な物言い。
これは間違いなく兄兼暴君の美嶋日向。
「ただ、マネージャーが速攻で仕事入れやがったから、もう行かなきゃなんねぇ。」
お兄ちゃんが運転席の窓の外にいるマネージャーさんを睨む。
デキる女風のその人は、カリカリした様子で腕時計を眺めていた。
「後で映像はもらうから腑抜けたパフォーマンスすんじゃねぇぞ」
強制的に私の背筋を伸ばすように、視線で刺してくる。
さっきまでならトドメ刺されるとこだったけど、今は落ち着いて受け止められた。
「……わかってるよ」
腹を括ったように見える私の態度に、お兄ちゃんが怪訝そうに眉を寄せた。
「思ったよりけろっとした顔してるな」
「え?」
「人の目に晒されて、もっと死にそうになってると思ってたから」
……それで心配してきてくれたの?
わざわざ?アメリカから?
お兄ちゃんて優しいのか非道なのかわからない。
というか、両極端。中間点がないみたい。
「そ、れは……正直まだ怖いけど。
ちょっと見方が変わったと言うか……」
お守りみたいに南の言葉を思い出して、視線を落とす。
お兄ちゃんはそんな私を横目に見て、どかりと足を組み直した。