一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
前奏の途切れ目に、昊が音もなく正面に振り返る。
南とは真逆の、無機質な瞳が観客の絡めとるようにじっと前を見た。
「迷いすら 追い風にして
静かに今 目を開けた」
場の空気を掌握して、曲の世界に引き摺り込む深く色艶のある歌声。
さっきまで飛び交っていた歓声が、すっと静まっていく。
数万人いるはずなのに、
ドームが一瞬、息を止めたみたいだった。
南が起こした観客のざわつきも、私たちの動揺も完全に鎮圧して、誰もが昊の歌に聞き入った。
――次の瞬間。
空気をぶち壊すみたいに、蓮が前へ飛び出した。
「空なんてさ 奪えばいいだろ
ルールの外 行くのがmy flow」
羽根のように軽やかなステップで、蓮がテンポを跳ねさせる。
色香のある流し目が、次の瞬間には人懐っこい笑顔に変わった。
挑発的にこめかみに当てた人差し指を、客席へ投げるように払う。
首を傾げてウインクを飛ばすと、女子達の悲鳴がドームの天井まで突き抜けた。
ライブカメラが切り替わる。
さらりとモーヴの髪を靡かせて振り返ったユウキが、光るレンズの奥をバチッと捉えた。