一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
#20 ハッシュタグ
5月も終盤に差し掛かる頃。
私達は休みなんて言葉を知らないかのように、忙しくしていた。
配信・番組出演・イベント出演etc……
レッスンだらけの日々が、いつの間にか仕事とレッスンで埋まる日々に変わっただけで――
今までも休みなしだったんだけどね。
――そんな今日はレッスン後、久しぶりの半日オフ。
練習を終えたレッスンスタジオには、浮き足だった空気が流れていた。
「昊はこの後何すんの?」
壁際で、リュックに雑にタオルを詰め込みながら南が隣の昊に話しかける。
側にいる蓮は、ぼーっとスマホ弄りをしている。
「……帰るけど」
「そーじゃねぇよ。帰って何すんのって話!」
南は笑いながら、ビシッと昊の胸を手の甲で打つ。
「さぁ…?漫画とか……?
この間千景に勧められたやつ」
「おっ、意外〜。昊って漫画とか読むん?」
「普段は読まないけど。千景が珍しく熱弁してきたから。
……ナントカ?って少女漫画」
ぴくり。
スタジオの奥で自主練してた私やユウキのところまで、そんな会話が聞こえてくる。
踊っていた足を止めて、私は2人の方に振り返った。
「“君恋”ね!“今日、君に恋をする”!」
「めっちゃ食いつくじゃん!」と南が噴き出す。
「げ、千景ちゃん少女シュミ?
やめてよ、いよいよ性別不詳になってくるからぁ」
ふと視線を持ち上げた蓮が、嫌そうな半笑いで言った。
ギクリ。
「ちちちがうよ、漫画全般好きなの!少年漫画とかも読むし――……」
どうかなぁと疑いの眼差し。
南が“アホだな”とでも言いたげにげらげら笑ってた。
――その時、蓮のスマホが短く鳴る。
スマホをタップした蓮の眉が僅かに寄った。