一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―

きょとんとする2人。
ちょっとだけ変な空気になった。

「良くはないんじゃない?」

無表情でサラッと答えながら、昊は荷物を持って立ち上がる。

「ゲーノー界の闇を知っちゃったなー!千景」

セリフの割に南も明るい。
支度が整った2人は「おつかれー」と出ていってしまった。

あ、行っちゃった……

置いてけぼりを食らったみたい。


アイドルって、恋なんてしない生き物だと思ってた。


「ありえない。アイドルが恋愛で夢壊すとか論外だから」


呆然としてる背中に、ユウキの冷えた声が落ちる。
混ざらなかっただけで、さっきの会話は聞いていたみたいだ。

振り返ると、タオルで半分顔が隠れているユウキと目が合う。

凛とした深紫の瞳は、まっすぐで曇りがない。

「あの浮かれピンク、なんかやらかしたら許さん。
千景も!今日は逃したけど、アイツが変な動きしてたら止めてよね!」

「えっ!?あっ……ウン!」

ビシッと指を差されて、反射で背筋が伸びた。

ユウキはまだブツブツ言いながら、鏡の方に向き直る。
……と思ったら、途中で足を止めてもう一度私の方に体を向けた。

「そうだ。千景、この後暇?」

「え?」

「予定!あるの?」

ユウキが苛立って腰に手を当てる。

「えーっと、特にない、けど……」

へらっと誤魔化し笑いしながら答える。
返答を聞いたユウキが、ふいっと視線を外した。


「ふーん。そ。
……じゃあこの後ご飯行こ」

一拍置いて、ユウキが小さく息を吐く。
私はきょとんと目を丸くした。

ごはん……
ユウキと?

ともだち、と?

「うん!行くっ!行きたい!」

思わず前のめりになって、ユウキに迫る。

急に近くなった私との距離に、ユウキはビクッと肩を跳ねさせて顔を歪めた。

「何!テンションうざっ
いちいち距離近いんだよ、お前!」

そう怒鳴って、ユウキはすぐに後ろを向く。

「どこ行く?楽しみだね!」

ウキウキしてる私の声を背に、ユウキは赤くなったことに戸惑って頬に手の甲を当てた。
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