一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
#26 利用価値
テレビ番組出演から数日後。
事務所の応接室で、私はSEIKOさんと向き合っていた。
「……宇都さんから聞きました。
私が美嶋日向の弟だってこと、バラすなら事前に言って欲しかったです」
SEIKOさんは、すぐには答えない。
静かな室内に、空調の低い音だけが流れている。
SEIKOさんは腕を組んだまま、少しだけ視線を落とす。
「ごめんなさいね。でもあなた、聞いても多分、“まだ言うな”って言ってたでしょう」
濃いアイシャドウが圧をかける、鋭い目が私を貫く。
何も言い返せない。自分でも、そう言う気がするからだ。
「いつかバレることよ。だったら、利用価値がある今公表したほうがいい。そういう判断」
「利用価値……」
思ったより低い声が、自分の口から漏れる。
SEIKOさんは眉ひとつ動かさず、俯いた私をずっと見つめている。
「“あなたの”利用価値だと思ってる?」
「え?」
それ以外に何があるの?
意味がわからず、瞬きが増える。
SEIKOさんはやれやれと首を振った。