一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―

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それからしばらくして、やっと私も部屋を出る。

廊下に出て応接室のドアを閉めた直後――

「あっれ。千景ちゃん?」

エレベーターのある方向から、蓮が私を呼ぶ声がした。

「蓮!……何してるの?」

目を丸くしてる蓮のところへ小走りで駆け寄る。

蓮は細縁メガネにキャップと、変装スタイル。肩には大きめのトートバッグ。
外から来たところらしい出立ちだった。

「俺はさっき仕事終わったとこで――……
あれよ、これの顔合わせー」

蓮がバッグの中から薄桃色の冊子を取り出す。
その表紙には“今日、君と恋をする 第一話”と書かれていた。

「今日恋!いよいよ始まるんだねっ」

高揚感に息を呑んで目が輝く。


さっきまで深刻モードだったのに。

好きなもので元気になれるなんて、我ながらなかなかゲンキンだ。


興奮気味の私とは裏腹に、蓮は浮かない苦笑い。

「ねー……。まず台本覚えられんのかな、俺。
今から超不安なんだけどー……」

「できるよ、蓮なら!大丈夫!」

「その根拠のない励まし意味ないからぁ。
可愛い女子に言われるならともかく」

「千景ちゃんでしょ?」と、蓮は台本で私を軽く叩く。
それでも笑顔のままの私を見下ろして、毒気を抜かれたように息を吐いた。

「ま、相手役の子可愛かったし。
とりあえずそれで頑張れるかぁ」


ポンポンと、今度は手で私の頭を叩いて蓮は台本を仕舞い込む。

それからひらりと手を振って、応接室の隣の事務フロアに消えていった。
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