一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
#29 暴発サイダー
「……なんか……空気悪くない?」
スタジオに1番最後に到着した昊が、怪訝そうに眉を顰める。
「そうなんだよー。俺なんてさっきからずっとウサちゃんに睨まれててさぁ……!」
わーんと鳴き真似をした蓮が、手を伸ばして昊に駆け寄る。
ひらりとかわされていたけれど。
「話しかけると舌打ちで威嚇してくんだよ。
なっ?千景」
腕を組む南がくるっと私の方を向く。
ユウキの靴底が強く床に擦れる音がした。
「えっ!?あ……うん……」
恐る恐るユウキの方を伺いながら、慎重に頷く。
ユウキはスタジオの隅――いつもの定位置で雑念を振り払うように、恋色サイダーの振りをなぞっていた。
防音扉が勢いよく開いて、SEIKOさんや宇都さん、トレーナー陣が入ってくる。
「お疲れ」
「お疲れ様です!」
その場で動きを止めて、全員で挨拶を返した。
――キュ、キュ
……と思ったら、ユウキだけが何も気付かず鏡と向き合っている。
鏡面に映る必死そうな顔を捉えたSEIKOさんの目が、僅かに細くなった。