一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
「ごめんごめん。……話を戻すとさ」
笑いすぎて滲んだ目元を指で拭って、蓮がふっと表情を戻す。
「俺が、言ったのは、颯斗っぽい演技じゃなくて――」
いつもの、何も考えてなさそうな顔で。
だけど、その目だけは妙にまっすぐだった。
「美嶋千景を演じるってこと」
「……それって?」
つまり、どういうこと?
かくんと首を傾ける。
蓮が台本を机に置いて、キャスター付きの椅子にポンと腰掛けた。
「演じるっていうか、演出?
千景ちゃんのいいとこって、びっくりするくらいのピュアさだと思うんだけど。
今回みたいに歌詞に共感できないと、まるで活かされないじゃん?」
ぐさっ。
ダメージは受けて、胸を抑えて前屈みになる。
「だからさ。その曲の世界観に入った時、
千景ちゃんならどうなるかなってイメージするといいんじゃないかって思ったわけ」
――私なら、どうなるか。
滞っていた思考に、風が吹き抜けたような感覚。
全くの別人になるでもなく、
その瞬間の私のままでいるでもなく。
恋色サイダーのストーリーの中にいる、“美嶋千景”を表現する。
それなら、私にも歌えるかもしれない。
誰かの恋じゃなくて。
私がまだ知らない、“私の恋”として。