一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
「おー、千景ちゃんさっすが。いい表情してんねー」
なぜか蓮が得意げに腕を組む。
昊も、「まぁまぁ良くなったかな」と頷いた。
「――OK.千景、かなり良くなった」
コントロールルームで、SEIKOさんが満足そうに微笑んでいる。
「ちゃんと“あなた”になってる。
ただ語尾の処理が甘い。弱るニュアンス出すなら……」
「!」
SEIKOさんの指摘の内容が、一歩進んだものになった!
今ので合っている、と言われたみたいで、胸が膨らむ。
――この数日、蓮に教えてもらった“エゴサ”でファンの人が持ってる“美嶋千景像”を徹底的に調べた。
純粋。
透明感。
かわいい。
最年少。
みんなの弟。
そんな印象からできたのが、“初恋に戸惑う純情男子な美嶋千景”だ。
――っていっても、性格の設定はあんまり元々の自分と変わらなかったんだけど……
でも、頭の中にそういうキャラ付けができただけで、ぐんと歌詞に自分を乗せやすくなった。
細かな調整をかけてテイクを重ねながら、驚くほど順調にレコーディングが進んでいく。
恋のドキドキ。
緊張。照れ。
胸が締め付けられる気持ち。
まだ、想像でしかないけれど。
その想像の解像度を上げてくれたのは、ここ最近の南や蓮、それにユウキとのやりとりだったから。
(寂しいよ、ユウキ)
キラキラした恋を歌いながら、ほんのちょっとだけ、合わない視線が切なくなった。