一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
#36 再始動
“まだまだみんなとがんばりたい”
そう言うと、蓮は支度を整えてすぐに事務所へと向かった。
私はついていくことにしたんだけど、ユウキは――
『腑抜けピンクが正気に戻ったんなら帰る。やること死ぬほどあるしね』
と、1人でさっさと帰って行った。
スタプロの応接室で、宇都さんとSEIKOさん、そして蓮と私が対峙する。
「――迷惑かけてすみませんでした!」
机に額を擦る勢いで蓮が誠実に頭を下げる。
宇都さんがそれをハラハラしながら見つめて、SEIKOさんは厳しい顔をしていた。
「事情は把握した。――で?アンタはどうしたいの?」
腕を組んで鋭い声。蓮が緊張した顔で、机の下で拳を握った。
(がんばれ、蓮!)
俯く顔をチラリと見つめる。
しばらく押し黙っていた蓮が、覚悟を決めて顔を上げた。
「失望させた人に、ちゃんと謝りたいです。
謝って――もう一回、flying-Hiで頑張りたい」
背筋を伸ばして、SEIKOさん達に真っ直ぐ伝えた熱意は本物。
宇都さんの表情が安堵に明るくなって、SEIKOさんの口端がニヤリと吊り上がった。
「そ。じゃ、明日ME TUBEの公式アカウントで謝罪動画配信するから。宇都、手配と蓮の謝罪指導よろしく」
それだけ言って、SEIKOさんが席を立つ。
許されたのかどうなのかわからなくて蓮と2人困惑していると、部屋を出かけたSEIKOさんが立ち止まって振り返った。
「ドラマの放映日も、恋色サイダーの初披露も迫ってる。
サボった分、寝る間も惜しんで練習しなさい」
不敵な微笑みに、私と蓮は顔を見合わせて驚く。
それが即ちどういうことなのか理解して、自然と笑顔が込み上げてきた。
「よかったぁあ……!よかったね、蓮!」
ほーっと安堵の息を吐いて胸を撫で下ろす。
まだ実感が湧いていないみたいな蓮が、戸惑って目を泳がせている。
「……ん、過去一緊張したわぁ……」
「よかったですよぉ!蓮さん、よく決意してくれました!」
宇都さんも鼻を啜りながら安堵を噛み締めている。
まだ炎上が収まったわけではないけど、一先ずの決着に部屋の空気は温かかった。