一等星センセーション―日陰女子、イケメンアイドルになります!?―
「Are you ready? We are “flying-Hi”.」
ゆっくりと正面に振り返った南の静かな声でこの曲は始まる。
街中の喧騒が遠くに聞こえるようなSE。
人ごみをすり抜けて助走をつけて目の前に迫るように鳴る、爽快できらびやかなイントロ。
南から受け取ったバトンを昊から歌い繋いで、蓮・ユウキ・私と順番にお披露目するように前に振り向き振りに入る。
サビに入るまではダンスより、フォーメーションの移動が肝になる。
「信じた道を まっすぐ
逸れないことが 僕の強さ」
Aメロラスト。私のパート。
――よし。ここまでは、順調。
初めてのノンストップのパフォーマンス。
“トチったら終わり”が頭の片隅に張り付いてるから、みんなの表情は硬い。
でも今回は歌い繋ぐことが課題だから。
それにみんな完全に歌や振りが入ってるわけじゃない。
だから、正確さよりも周りを見て合わせることを重視しないと……!
Bメロは私とユウキの掛け合い。
後ろ向きに大きくターンして、センターラインで背中合わせになれれば成功。
歌い切ってすぐ、ふわりと大きく体を回転させる。
横目に見たユウキの軌道が、ほんの少し外側にズレたように見えた。
(……っ、合わせないと!)
センターラインがちょっとズレてでも、背中合わせができてた方がいい。
そう思って、ターンする歩幅を大きくしたのに。
(わっ!強引に帳尻合わせてきた!?)
自分のズレに気付いたユウキが、歩幅を広げて力技でセンターラインに立ち位置を合わせてくる。
センターラインを越えようとした私と、センターラインに収まろうとしたユウキ――
――ドンッ
鈍い衝突音。
合わせるだけのはずの背中同士が思いっきりぶつかってしまった。