俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
1.俺様社長と恋愛バトル

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 ──遡ること半年前。

「……あれ、今日はずいぶん早いね。さてはデートだな?」

 退社準備をしていた結衣の耳に、からかうような声が届いた。隣のデスクで仕事中の同僚──原田夏希が、にやにやしながら結衣のほうを見ている。

「えへへ、まあね」

 結衣は頬をかきながら、照れ笑いを浮かべる。
「最近忙しいみたいだから、こっちから会いに行こうと思って」
「ふうん、いいじゃん。今度の彼とは順調そうだね」
「うん。今の人は、きっと大丈夫だと思うの」

 結衣ははにかむと、「また明日ね」と言ってオフィスをあとにした。

 駅に行く途中、カバンからスマホを取り出してメッセージを打ち込む。

 【今日、家で待ってるね】

 送信先は付き合って半年になる彼氏、智紀だ。
 ショーウインドウに映る自分の姿がふと目に入る。きちんと巻いた髪に、普段は着ない柔らかい色味のワンピース。

(可愛いって思ってくれたらいいな)

 智紀の反応を想像して、頬が緩む。
 電車に乗ってから、スマホを確認した。

(……既読、つかないな。まだ仕事中かな)

 智紀はIT系企業で営業職をしており、残業は日常茶飯事だ。最近は特に忙しいのか、メッセージに返事がないことも多い。

(でも、家に行けばさすがに会えるよね。そうだ。買い物して、夕ご飯も作っておこう)

 智紀の自宅のある最寄り駅で降りると、駅前のスーパーで食材を買う。今日のおかずは、彼が好きな回鍋肉だ。
 そんなこんなで智紀の住むマンションに着いたのは、午後八時を過ぎた頃だった。未だにメッセージに既読が付かないままだ。

(まだ仕事中なのかな。早く帰ってきてくれるといいのだけど)
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