俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
「お料理に合わせて当店のソムリエが厳選するグラスワイン三種セットがお勧めです。特にこの赤ワインがコクのある飲み口と芳醇な香りが女性に人気でございます。フランスのノワール地方にございます約500年の歴史を誇るワイナリーで生産されたものでしてとても飲みやすいです。お連れ様も別のペアリングセットですので、ちょうどいいかと」
「じゃあ、それで」
「承知いたしました」 

 ウエイターはにこりと微笑むと、その場を立ち去った。

(まさか、この店が気に入らなかったのか?)

 浩斗はグラスを傾けながら、結衣を窺い見る。
 彼女の前にはまるで芸術品のように美しい料理が置かれているが、食べている当の本人はあまり嬉しそうに見えない。むしろ、困惑しているようにすら見えた。

「口には合うか?」

 浩斗が問いかけると、結衣は彼を見る。

「あ、はい。……社長はこのお店、時々来るんですか?」
「ああ、そうだな」

 浩斗は頷く。しょっちゅう来るわけではないが、大事な食事の際は時折利用している。

「そうなんですね」

 結衣はそう呟くと、また料理を口に運ぶ。
 ふたりの間に、沈黙が訪れた。

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