俺様辣腕社長の甘い執愛~マッチングアプリなんて信じません!~
 翌日、結衣は予定通り、朝から社長の外出に同行した。

「今日はありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」

 取引先の社長と握手して別れると、すぐに成瀬が社用車に向かう浩斗の隣へ近づく。

「次のアポイントは日本橋の菱光商事で4時半からです」
「40分後か。資料をもう一度確認する時間はあるな」

 浩斗は時計を見てから頷く。てきぱき動き回るふたりの後ろを、結衣は必死で付いてゆく。

(社長、忙しすぎじゃない? 朝から全く休む暇がないんですけど?)

 履きなれないヒールも相まって、こっちはもう足がパンパンだ。そのとき、成瀬が遅れている結衣に気付き、振り返る。

「横溝さん。もたもたしないで」
「はい!」

 結衣は慌てて小走りでふたりに駆け寄る。急いだせいで、タイルの窪みに躓く。

「あっ」

 転ぶ、と思ったそのとき、力強くお腹を支えられ。浩斗が咄嗟に結衣のお腹に腕を回して助けてくれたのだ。

「大丈夫か?」
「はい。すみません……」

 近い距離に浩斗がいてドキッとした結衣、慌てて距離を取る。

「ちょっと気を付けてよー」

 呆れ顔で成瀬が注意する。
 役に立つどころか足を引っ張っている自分に、焦りを感じた。
 
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