お試し婚のはずが、いつの間にか溺愛されています!~二度も婚約破棄された外科医は受付事務員に愛を捧ぐ~


「破談もそうだが、俺はモテない男らしい。何か原因があるのか、声をかけられて連絡先を交換しても、早い時は数日後には避けられて連絡も取れなくなる。そんなにも、俺は酷い男で……器量も悪いか?」

「は?」

 ようやく絞り出した声は、間の抜けたものだった。
 私は思わず瞬きをする。

 この人が? モテない?
 そして、自分がモテないことを心配している?

 高身長で、仕事もできて、家柄も悪くない。
 どう考えても女性から放っておかれないタイプだと、私はずっと思っていた。

「意外か?」
「……正直に言うと、はい。モテない理由が思いつきません」
 城高山先生は小さく苦笑した。

「だろうな。だが、俺のほうに問題があるのも原因か……」
「問題……?」
「女性を、信用しきれないんだ」
 低く落とされた声に、私は息を呑む。
 冗談や謙遜ではないことは、彼の表情を見ればすぐに分かった。
 色々と問題が発覚したところで、タイミング悪く、料理が届いた。
「食べながら話をしようか。いただきます」
「いただきます」
 目の前には湯気がたっているハンバーグとパスタ、スープ、サラダが置かれている。見た目も美味しそうだったが、食べて見ると感激した。
 肉汁が溢れ出るハンバーグに、アルデンテのクリームパスタが絶妙に美味しくて笑顔になる。そんな時は束の間、三分の一くらいを食べたところで本題に戻される。

「義理の姉がいるだろう」
「……はい、存じ上げております」
 城高山先生には、義理の母の連れ子である姉がいる。彼女は同じ病院の外科医で、彼と同じくアメリカの有名な大学病院に勤務していた期間もある。
「その人のせいで、少し拗らせた」
 そう言って、城高山先生は視線を床に落とす。
「金と立場目当てで男に近づき、裏切るのを何度も見てきた。身内だからこそ、余計にな」
 淡々と語られる言葉の裏に、長い諦めと疲労が滲んでいた。

「それで……女性不信、ですか」
「そうだ。だから見合いでも、相手を疑ってしまってな。
 失礼な態度を取って、振られて終わりだ」

 私は胸の奥が、きゅっと締めつけられるのを感じた。
 勝手に完璧だと思い込んでいた彼の裏側に、そんな事情があったなんて。
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